:家庭教師ヒットマンREBORN!
:沢田綱吉


「好きだよ、依泉!」
「……へっ?」

力が抜けて持っていた洋菓子が手の中から滑り落ちる。ここは私でなくツナの部屋なのに少し申し訳ない。
そんな反応をしておきながらも頭は案外冷静だった。今までずっと待ち望んできた言葉だ。理解できない筈なんてない。

「実はずっと前から依泉の事が……」
「うっ……うん!私も、」
「なんてねっ!」

前言撤回。やはりこの事態の早さに着いて行くのは難しいよう。「エイプリルフールだよ!」なんてにこやかに言ってのけたツナは何を考えているんだろう。
ポロリ。気付いた時には涙腺は見事に壊れてしまっていた。

「ちょ、依泉!?」

何で泣くんだよ!とさっきまでと変わって狼狽えるツナの台詞はやっぱり冗談だったのかもしれない。何で分からないの?

「っだって私、ツナの事好きなのに……!」
「!……うん、オレも」

驚いたように瞳孔を開いて、それからゆっくりと力を抜いたツナ。もう騙されるもんか。さっきエイプリルフールだって言ったクセに。つまりは嘘じゃない。

「エイプリルフールって言い直したのが嘘だって」

分かったのはややこしい事を言われている事実だけだ。
眉を八の字にして「困った」顔をするツナを私は恨めしく睨み付ける。けれど涙が止まってくれないものだから、今一迫力なんてものは期待できない。

「依泉はオレの事どう思ってるのかなって……試したんだよごめん!」
「……分かり辛い、それ」

少しして自白したツナにようやく涙の勢いが止まる。意地悪く言えばツナはもう一度、今度は静かに謝った。
本当に申し訳なく思っているのが見てとれて、今度はなぜか私の方が悪い気分にされてしまった。許す変わりに小さく確認。
本当にもう嘘はついてないね?
ちゃんと真剣な表情をして頷いたツナを許さない理由は何処にもない。けれどもう少しだけ、泣かせた罪で反省していてもらおうか。


策士にもペテン師にもなれない。

それは所詮ただの子供の考え。

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結構前に考えてたややこしいネタ。
時期外れですがそれもまた愛嬌って事で!←

2009.08.26.wed

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