何気ない一言、崩れゆく関係
[京子ちゃんのあんな姿見られただけで入院した甲斐はあったかも…]
ツナの回復を望む為、ハル主催の祈祷師の格好をした京子。
そんな愛らしい姿を見られたツナは怪我すらした甲斐があったと思うのだった
「本当に、ツナは京子ちゃんにベタ惚れだよね?」
「なっ!!ってかオレ、口に出してないのに…それ…何で知って…」
先程、雲雀から受けた暴行をまだ痛そうに引き摺るツナはベットに寝ながら傷口をさすっていた。
その横にいるのは幼なじみの依泉だった。
「ツナのことなんか何でもわかるよ?何年の付き合いだと?」
フフッと短く笑った少女はベットに腰掛け、林檎の皮を剥いていた。
「ほらっ。ツナが昔、好きだった兎さん型りんご!」
笑顔でりんごを振る舞う依泉とは真逆にツナは機嫌が悪そうに
「いつの話だよ。もう止めろって子供じゃないんだからさ!」
とあっさり切り捨てた。
「そんなに京子ちゃんにノってあげられなかったのが嫌?」
「うるさいなぁ、依泉には関係ないだ……!」
依泉が病室に来てからツナは一度も依泉の方を向かなかった。
文句を垂れてから初めて依泉の方に顔を向けた。
「ゴメン…私、帰るね?」
「なっ!」
ツナは唖然とした。
いつも見慣れた幼なじみの顔から見慣れない涙。
「依泉?!」
呼んでも振り返らない。
廊下の向こうに
彼女は消えた──
何気ない一言が
何年も付き合ってきた
関係を崩す
そうそれは
本当に
何気ない一言…
end.
→あとがき&感想
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