私笹川京子は、臨戦態勢に入ろうと思います!
そもそもの発端は今日の夕方の事。網ちゃんとの親睦会を目的とした買い物から帰ってきた私は、お兄ちゃんとのお土産話に花を咲かせていた。
「それでね、紹介しようと思ってたケーキ屋さんが、網ちゃんと同じお店だったの!」
話の途中何度も頷くお兄ちゃんに気を良くして、すっかりお気に入りの網ちゃんの事を可愛いと言う。するとまたまた頷きながら、さらっとお兄ちゃんは可愛いと……
「うむ。網は極げ……、」
言わなかった。
「……お兄ちゃん?」
ぴしっと石のように固まりついたお兄ちゃんは、激しく吃りながら弁解をしようと奮闘しているらしい。その反応の可笑しい事。まさかとは思うけど、残念ながら辿り着いた答えはひとつだけ。
「な、なんでもないぞ!俺は別に……」
「もしかしてお兄ちゃん、網ちゃんの事好きなの?」
「ななな何を言うか京子ォ!」
吠える様に否定したお兄ちゃんの顔は真っ赤になっていて、今にも湯気が噴き出しそう。
「違うの?」
「違うぞ!網の事がっ、すすすす好きなどと……好きなどと……?」
段々と普段の勢いが失われていくお兄ちゃんを見て、確信を持った私にはのんびり談笑なんてしている余裕はなかった。
可愛い可愛い網ちゃんに男が付くなんて見過ごせる訳がない。それが例え、実の兄でも関係ない。気付かせてしまった以上、早めの対策が必要……かも。そう、例えば網ちゃんの兄妹を手駒に入れておくとか。
それから部屋に篭って思案を重ねた私は翌日、昼休みにツナ君を呼び出した。
その時彼に素を出してしまったのは、少しだけ予定外の事だったのだけど。
2009.10.04.sun
|
OOPARTS