生理周期を把握しているンデ
「なあキミ、今月はまだアレが来てないんじゃないか?」
「アレ?何のこと?」
お帰りのハグをしたまま挨拶もそこそこに質問される。アレってなんだ?
「まさかあの時に……?いやオレはちゃんと守ってるぜ。そういうのは話し合ってからじゃないと」
「なんて?」
「まさかキミ、オレ以外の男と!?」
「なにが!?」
ハグされたまま頭の上でボソボソと呟かれ聞き返すも、突拍子も無い事を言われる。彼以外の男とって何がよ……もしかして。
「……生理の話?」
「そうだが」
「そういえば今月まだ来てないね」
「だろ?」
全く気にしていなかったが、言われてみれば管理しているアプリの予測日を過ぎている気がする。いつだっかなあ。
「もう五日は遅れているぜ?」
「そういえばそうかも。……なんで把握して」
「子供が出来たのか!?誰の子であろうとオレはキミごと愛すと誓おう!」
何故把握してるのか聞こうにも、すっかり彼の世界に入り込んでしまったようだ。なんだかすごく私に失礼なストーリーが出来上がっている気がする。
「ただのホルモンバランスの乱れだよ。これくらい誤差誤差」
「本当か?」
「十代の頃は一ヶ月来ないとかもあったしね。まあ今それだけ来なかったら流石に病院に行くよ」
「……絶対だからな」
心配なんだ、と強く抱きしめられる。大袈裟だなあ。
「女性ホルモンってやつを増やせば良いのか?」
「んー、多分?運動とかも必要だったかな、よく分かんないや」
「オレの大事なキミの身体のことなんだぜ?」
私の目を見つめながらすごいキメ顔で言われるもお尻にはサワサワと撫でられる感覚が。
「あの、ダンデさん?」
「ん?」
とても良い笑顔でニコニコしながらお尻を撫でる手はどんどん動きが大きくなる。ヒッ。片手がズボンのウエスト部分から入ってきた。
楽だからって彼の昔の運動着を部屋着にするんじゃ無かった。
「ちょっと、何!」
「ホルモン分泌と運動の手伝いをしよう」
「い、いいです!や、ちょっ!」
以下暗転。
****
翌朝。
結局昨夜は彼に良いようにされていつもより遅く起きると隣に彼の姿は既に無く。彼の思い通りに進んでしまい少しイラッとする心を抑えつつ、コーヒーの良い香りがするダイニングへ向かう。
「おはよ〜」
「おはよう。コーヒー飲むか?」
「うん。今日は甘めにして」
「わかった」
コーヒーのオーダーをしながらキッチンに用意されていたサラダとスクランブルエッグのプレートをテーブルに運ぶ。
「そういえば」
「ん?」
「今日にでもアレ、来そうだな」
「ええ?」
「さ、トーストも焼けたし食べよう」
「はあ」
朝ご飯を食べながら昨日の出来事を面白おかしく話してくれるのを聞く。……生理を予言された衝撃が大きく、あんまり頭に入ってこないんだけど。
その日の午後、下腹部の鈍痛によりトイレに駆け込むと下着が汚れていたのは言うまでもない。
改稿:2021/08/18