遅れて寝室に入る話side:Y

*夢主が強か注意
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 夜。先に寝ててくれと言われてしまったのでそれに従い少し前にベッドに入り、明かりも一番暗いものに設定しておいた。
 真っ暗にしておくと彼はベッドまで辿り着けないかもしれないから。私って優しいでしょ?

「ん?」

 音を立てないように最大限気遣われながらドアが開き、少しずつ彼がこちらへ近づいてくる気配がする。……ふふ、気付いたかな。

「……またか」

 彼の呆れと嫉妬が色濃く混ざった溜息。これが聞きたくて私は今日も彼の提案を受け入れない。

 彼が嫉妬しているのは、今私の目の前で大食い企画をしている彼らで。私は誰かの話し声を聞くと寝付きが良くなる、訳ではなく。
 まあそれも合っているのだが、別に話し声じゃ無くても彼の言うようにポケモンだったり、睡眠用BGMだったり。つまり静かな空間より多少雑音がある方が寝やすいと言うだけなのだ。

 なら何故特定のポケチューバーの動画を流し続けるかというと理由は簡単。分かりやすすぎるくらい彼が嫉妬してくれるからだ。可愛い。
 このポケチューバーが活動を始めたのは彼と付き合い出した後で、元々よくポケチューブを見ていた私は面白そうなのが出てきたとすぐに彼らに目を付け、動画を見る事が多くなった。
 そしたら彼が段々と面白いくらいに嫉妬する様になって、オレを見ろとばかりドロドロに甘やかしてくれるようになったのだ。その必死さが面白くて、とっても可愛くて。つい癖になってしまったのだ。
 ガラルの頂点に立っている男が何年もの間彼らに一方的に嫉妬してるの、とっても可愛いでしょ?

 動画を流していたスマホが持ち上げられ、どうやから電源を切られたようだ。ゴトゴトッと硬いものが二つぶつかる様な音がしたから、多分サイドテーブルに彼のスマホと一緒に投げたのだろう。

 動画が消されて静かになった部屋には私の寝息のフリをした呼吸音と、彼の静かな息遣いが聞こえる。掛けていた布団を捲られ冷たい外の空気が入ってきたかと思うと、後ろから腰に腕を回され背中に彼がピタリとくっついて来た。可愛い。
 彼が私の首元に顔を埋め定位置を見つけた頃合いでモゾモゾと寝返りをし彼の方へ向く。

「ん〜……、ぅ?だんでくん……?」
「……すまない、起こしたか?」
「ん〜ん……」

 「だんでくんまってたぁ〜」と思ってたよりも甘い声を出しながら目の前の私とは違う逞しい首に腕を回す。 
 ついでにさっきのお返しだとばかりに彼にピッタリとくっつく。ふふ、彼も抱きしめ返してくれた。

 すぐ近くにある彼の口からふん、と軽く笑ったような息遣いを感じたかと思うとすぐに唇が額に落ちてきた。どうやら彼も眠ることにしたらしい。

「おやすみ、ナナシ」

 ふふ。おやすみ、ダンデくん。




改稿:2021/08/18




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