夢主が酔っ払って帰ってくる話

雪が降りそうなほど急激に冷え込み、いよいよ冬本番を迎えた今日この頃。年中雪が積もっているキルクスタウン以外でも明日は積雪が予報されている。
それ程冷え切っているにも関わらず、今夜彼女は友達と飲んで帰ってくるそうだ。昔馴染みの女友達で写真も見せて貰ったことがあるので快く送り出したものの既に日付変更間近。いつもより帰りが遅いことが心配で先程からジュラルドンの周りをうろちょろしている。呆れた視線を向けられるのにはもう慣れた。

「…遅い」

壁にかかっている時計を見るとついに天辺を越えてしまった。これは流石にとスマホロトムを呼び寄せた時玄関からガチャガチャと鍵を開ける音が聞こえる。すぐに向かうとそこには顔を真っ赤にさせていつもよりもニヘラとまるでヌメラの様に笑う彼女が居た。

「たらいま〜きあなくん〜!」
「おかえり…随分飲んだんだな」

大丈夫か、と近づいたところで力が抜けた様にペタリと座り込むので慌てて支える。うわっ、酒臭。こりゃいつもより相当飲んだみたいだ。無事に帰った事を褒めないといけないレベルか。

「おい!大丈夫か?」
「んふ〜、らいじょうぶらよ〜!」

んふふふと大層ご機嫌にオレの首に腕を回してくるのでそのまま靴を脱がせリビングのソファまで運び座らせる。側に寄ってきたジュラルドンを撫でて楽しそうにしているので今の内にとキッチンまで水を用意しに行く。

「きあなく〜〜ん?」
「ちょっと待ってくれ!」

呼び掛けられたのでコップを持って慌てて戻る。ソファの上にはジュラルドンを撫でながら不満そうにこちらを見る彼女が居て。

「も〜!ろこいってたの!」
「水汲んでたんだ。ほら、飲みなよ」

お〜!と嬉しそうに受け取りコクコクと飲んでいく。喉が渇いていたのかもしれない。ふ〜と飲み干した彼女がコップを差し出してくるので受け取りキッチンに置きに行こうとすると、彼女がちょいちょいと手招きをしてくる。

「ふふ、なんだ?」
「となり、すわって?」

ソファの隣をポンと叩かれるので不思議に思いながらもそれに従って彼女の隣に座る。

「座ったぜ?…っ!?」
「おりこう」

座ると同時に頭に手を乗せられ何事かと思うと乗せられた手がわしゃわしゃと動き出す。彼女に頭を撫でられている。っえ。

「んふふ、きあなくんはおりこうさんらね〜」
「…〜〜っ」

頭を撫でられると言う久々の感覚に止めろと言える訳もなく。そもそも驚きと羞恥で身体が動かせない。

「らいすき、きあなくん…」
「…っ!オレもだ、…っアレ?」

オレの頭に手を伸ばしたままこちらに身体を預け、すっかり寝てしまった様だ。残念な様な、ホッとした様な不思議な気持ちを押さえ込んで彼女を寝室まで運ぶ。

その後、どうしてもまた頭を撫でて欲しくなりこの日の事を全く覚えていない彼女に頼み込んで変な顔をされる事になるのはまた別の話。




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