偶然ダンデを見かける話
ダンデを見かけた。それもショッピングモールに入っている女性向けのボディケアグッズ専門店で。
余りにも似合わない組み合わせに思わず物陰に隠れ観察してみる事にする。
ある程度目星は付けて来ていたようだが種類の多さに困惑している様で一つ一つ手に取り説明書きを読んでいる。あ、店員に話しかけられた。相手がダンデだと気付いているだろうが尊敬するほど営業スマイルが素敵な女性だ。
会話の内容を聞くためバレない程度に少し近づいてみる。
「お世話になってる人に渡したいんだが……その、全く分からなくて」
「そうなんですね〜!最近はプレゼント用にと来られる男性も多いですし私共にお任せください」
「助かるぜ……」
「お相手さんのアレルギーとかお好みの香りとかって〜」
『お世話になってる人』、か。そういえばこの前オレさまにも聞いてきたのを思い出す。その時にここの店名を伝えたような。それで買いに来たってわけか。
相手が誰か聞いても全く教えてくれなかったが、アイツが女性に贈り物をする、しかも悩みながら選んでいるのは短くない付き合いの中でも初めて見る。おそらく、いや確実に彼女が出来たのだろう。教えてくれないなんて水臭いやつだ。
テスターの匂いを嗅ぎながら納得のいくものが見つかったらしくボディローションなどが一通り揃ったギフトボックスを店員がレジまで運んでいく。ダンデも移動していくのでオレ様も商品を選ぶふりをして近付く。
「お会計こちらになります。ギフト用のラッピングもございますが如何でしょうか」
「そ、そうだな……」
キョロキョロと辺りを見回すダンデ。不思議に思いながら見ていると少し耳を赤くして数回うなづいている。今まで散々相談していた癖になんで今更その問いに挙動不審になるんだ。逆に怪しいだろうが。
店員さんが生暖かい目で見ている事には気付かない方が良いと思うぜ。
手早く綺麗に紙で包みブランドロゴの入った紙袋に入れた店員さんがダンデを出口まで案内する。この後話し掛けたら面白い事になりそうだが、オレさまは優しいからやめておいてやる。感謝しなよ。
随分初心な恋愛してるんだなと微笑ましく思いつつ、この先も相手との関係も明かされないまま相談はされるのかと思うと先が思いやられる。
この後、手ぶらで店を出るのもなと自分用にボディスクラブを買うも、何故かオレ様だけ女性に貢物かと週刊誌に撮られ、SNSが炎上する事になる。別に男が使っても良いだろうが!納得行かねえ!
改稿:2021/08/18