ロマンチックなラブソング

 画面の中の男女が幸せそうに顔を寄せ合い微笑み合う。そして二人の影が重なった瞬間、エンディングである主題歌のイントロが流れ始める。

「はあ〜〜。よかった、よかったね……。ちゃんと結ばれてくれた。ハッピーエンド イズ サイコー!」
「そうだな」

 一緒にドラマを見ていたダンデくんが興味なさそうな返答をくれる。が、いつもの事なのでお構いなく思いの丈を話し出す。

「途中で彼が記憶を失くすの本当ハラハラしたよ〜!それでも何処かしらで彼女の事が引っかかって徐々に記憶を取り戻していく……う〜ん、運命ってやつだ。王道だけどそれがいい!ね、ダンデくん!」
「記憶を失くすのは始まる前からストーリー紹介で書いてあったんじゃないのか?」
「……そうだけどさ」

 もっとこう、あるじゃん!とブツブツ呟きながらテレビに視線を戻す。この曲も今日で聴けなくなっちゃうのか。
 私の好きなアーティストが主題歌を担当しているという事があり見始めたこのドラマだが、想像以上に本編にどハマりしてしまった。DVDが出たら絶対買わなきゃ。

「ナナシ」
「なにー?」

 ダンデくんが名前を呼んでくる。だが、最終回特有のスペシャルエンディング映像とか、もしかしたらこの後エピローグがあるかもしれないので視線はテレビに向けたまま生返事をする。
 すると、後ろから腕を引っぱられ今まで背もたれにしていたソファに乗り上げる体勢にさせられる。

「わっ、な、何?どうしたの?」
「オレは、」

 どうしてもテレビの方が気になる為チラリと顔を動かしていると、ぐいと顎を掴まれダンデくんの顔だけが見えるように固定される。

「ナナシ」
「は、はい……」
「オレだって記憶を失くしてもナナシの事だけは絶対に忘れないし、生まれ変わったとしてもナナシを探し続ける」

 だから、と怪しくチカっと輝くイエローの瞳が近付いてくる。

「オレたちも運命で結ばれてるな」
「ひえ……、んぅ」

 ふにとくっ付けられた唇から割り出てきた生温く柔らかい舌が、私の咥内を荒らしていく。ダンデくんの熱を直接感じさせられるこの行為につい身体がキュンと疼いてしまう。

「ふふ、ナナシ。可愛いな」
「うぅ〜〜〜……」

 音を立てて離れていったダンデくんがくすりと楽しそうに微笑み身体を離していく。あのダンデくんがロマンチックな事を言うなんて。これもドラマの影響なのだろうか。

 ソファの背もたれに顔を埋めたまま聴こえてくる、ラスサビに入ったドラマの主題歌がもっともっと好きになった。




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