キミへのメッセージ
ここ最近、メッセージの通知欄を時間を空けて何度確認しても、思っている相手の名前が表示されない。通知が来ていないだけかとトーク画面を開くがやはり最新のメッセージは二週間程前のものだ。
一日に何度もその動作を繰り返すオレに少し哀れむ様な視線を投げながら、ロトムが話しかけて来た。
「きっと返事もくれないダンデに愛想が尽きたロトね」
「……」
「今頃ナナシはちゃーんと返事をくれるイイオトコとやり取りしてるロ〜」
「そんな訳ないだろう」
「冗談ロ」とケラケラ笑っているロトムに今日はオヤツは抜きだと伝える。ワーワー喚きながら謝るロトムを無視して、昨日提出された報告書を読む。……ダメだ、朝から何度も読んでいるのだが中々頭に入らない。
ナナシは事故にあったのか、それとも何か事件に巻き込まれたのか。無事なのだろうか。そんな考えばかりが頭を回る。
「イイコト思い付いたロ!ホップに聞けば良いロト!」
「ホップか……」
確かに二人はいつの間にか連絡先を交換し、定期的に連絡を取っていると話していた。ホップは何か知っているだろうか。
少し期待しながらホップにメッセージを入れる。だが返ってきたのは『そういや連絡来てないぞ!オレも研究手伝いが忙しくて忘れてた』との事だった。ソニア、あまりオレの弟に無理させないでくれ。
「ダンデから連絡したら良いロ」
「…………」
それは、そうなのだが。何如せん邪魔なプライドが立ち塞がる。今までオレから連絡した事ないし、返事もロクに返さなかった。
こんなタイミングで送ったら、そんなのまるで、オレがナナシに気があるみたいじゃないか。
「ほら、ナナシとのトーク画面ロト!ここに文字を打てばナナシに届くロ〜!」
ほらほら、と目の前でシュンシュンと素早く動くスマホロトムを手に取り、渋々文字を入力して行く。
『何かあったのか』いや、これでは心配している様だ。『最近連絡して来ないな』いや、これでは待っているみたいだ。『元気か』いや、これでは……。
「もうこれで良いロトよ」
「あっこら!ロトムっ」
「どれも一緒ロトよ〜。ダンデが心配してるのは変わらないロね」
勝手にメッセージを送信したロトムが「シゴトしたからオヤツ貰うロト〜!」とスマホを抜け出し、テーブルに置かれていたきのみを食べ出す。
溜息を吐きながら報告書を手に取り読み進める。
状況はさっきまでよりは一歩進んだはずだ。が、今度はいつ既読になるのか、どんな返事が来るのかが気になってしまい。
結局この日、仕事内容が頭に入って来る事はなかった。