とある一般的トップジムリーダーの独白
始まりは何だったか。そうだ、オマエがオレさまの握手会イベントに参加してくれたことだったな。顔真っ赤にしてオレさまに手を伸ばすオマエ、最高に可愛かったよ。その時も声を掛けたかったんだけど、ほらオレさまって人気者だからさ。限られた時間の中でオマエが精一杯話してくれるのを遮る訳にはいかなかったんだ。
その後、オレ達はワイルドエリアで運命的な再会を果たすんだよな。高レベル帯の場所にオマエの姿を見かけた時はオレさまヒヤヒヤしたんだからな。分かってるって、道を間違えたんだよな。迷子になるなんてどっかの誰かを思い出すから、慣れた道でもちゃんと地図は見るようにしなよ。
オマエを助けた時のオレさま、カッコよかったか?オマエが好きだって言ってた昔話の王子様みたいだっただろ。お姫様のピンチには颯爽と現れて助ける運命の王子様が必要なんだもんな。
そんなに照れるなって。懐かしいオレ達の出会いを振り返ってるだけだろ。
それからオマエが助けたお礼にどうしてもって言うから二人きりで食事をしたんだよな。オレさまの我儘聞いてくれて手料理を振る舞ってくれたの、とっても嬉しかったぜ。今思えばあれがオレ達の初デートだったな。ああ、いきなり家に押しかけるのも失礼かとは思ったんだけどな。もうその頃からオレさまはオマエにメロメロだったからさ。急ぎすぎて怖かったよな、ゴメンな。
連絡先も交換して、オマエが忙しい仕事の合間を縫って返事してくれるのもすごく嬉しかった。勿論今も進行形で嬉しい。たった一言二言だけでもな。
オレさま的にはもうちょっと頻度を上げて欲しいけど、仕事が忙しいんだもんな。ブラック企業って訳じゃ無さそうだけど、オマエへの分担ちょっと多すぎないか?何でも卒なく熟すオマエが凄いんだけどよ、オレさま心配だ。でも辞める気は無いんだもんな。
いつでもオレさまが養ってやるってこと、ちゃんと覚えておきなよ。オレさまの方はオマエがいつ来ても良いように常に準備してあるからな。
そうだ、今居るこの部屋もオマエのために一室丸ごと模様替えしたんだ。家具に拘りのないオマエのために、オレさまがオマエが好きそうなのと似合いそうなのを一つ一つ天秤にかけて選んだんだ。どうだ、バッチリだろ。喜んでくれてオレさまも嬉しいよ。
あと、オマエがポケモン持ってないって言ってたからオレさまが用意してやったぜ。コイツ、チルットって言うんだ。可愛いだろ。でもコイツも立派なドラゴンのたまごだ。進化したらもっとふわふわで可愛いドラゴンになるんだよ。コイツも歌うのが好きだから、よく鼻歌を口ずさんでるオマエにもぴったりだと思ったんだ。
ん?ああ、確かにオマエは見たこと無いかもな。ガラルに居ないわけじゃないんだけど、カンムリ雪原っていうちょっと強いトレーナーしか行けない場所に生息してるんだ。だから其処でソイツを捕まえて、オレさまのジュラルドンとたまごを作らせたんだ。オレさまのジュラルドンの血が入ってるからな、コイツもちゃんとオマエのこと守ってくれるぜ。安心しなよ。
おいおい、嬉しいからってそんなに泣かないでくれよ。オレさまはいつでもオマエのことを一番に考えてるからな。今からそんなんじゃ、この先やっていけないぜ?ふふ、冗談だよ。オレ達がやっていけなくなる未来なんて無いんだから。ほら泣きやめって。悪かったよ。
ん、お詫びのキスな。許してくれるか?……ははっ!今度は嬉しくて震えてるのか。本当にオマエは可愛いな。ああでも、今日は一段と顔色が悪いからもう眠った方がいいな。目が覚めるまで、覚めてもずっと一緒に居てやるからな。だから怖く無いだろ。ほら、目を閉じて。
おやすみ、オレのお姫様。