ウールーのふわふわかき氷パフェ

「ダンデくん!これ見て!」
「うわっ!……『ウールーのふわふわかき氷パフェ』?」
「そう!」

 ダンデくんの顔ギリギリに雑誌を押し付け、今シュートシティで大人気なのだと興奮気味に伝える。彼にとってウールーはハロンタウンで一緒に育ったと言っても過言では無いだろうから好反応を期待したのだけれど。ふうんと微妙なお返事。

「あれ?ウールーだよ?」
「?ああ」
「……ふわふわも再現されてるって」
「ふわふわ、な」

 今日も綺麗に整えられた顎髭を右手で摩る。一体何を考えているのだろうか。

「かき氷じゃウールーのふわふわ感を出すのは無理がないか?それにふわふわと言っても季節によっては、」
「も〜!ただの謳い文句でしょ!一般人はウールー=ふわふわなの!ふわふわの違いなんかどうでもいいの!」
「……。……へえ、そうか」

 機嫌を損ねてしまったのか、少しだけぶすくれた様な顔で手持ち無沙汰にボールを磨き出す。私だってこんな事で喧嘩したいんじゃ無い。たまには私も流行に乗りたいのだ。ダンデくんと。
 でも今の状況じゃ無理かなあ。でも後からまたこの話を蒸し返すのも。でもでも。
 ……ええい!女は度胸!当たって砕けろ!

「ねえ、ダンデくん!このパフェ一緒に……」
「行かないぜ」
「え」
「オレと行ったら一般人とは違う変な文句を付けるかもしれないぜ。やめておいた方がいい」
「で、でも……」
「何を言ってもオレは行かない。諦めるんだな」
「……うぅ」

 大きく息を吐いて立ち上がったダンデくんがリビングを出て行く。ボールも無くなっているし部屋に戻ってしまった様だ。
 無理かなとは思っていたけど、実際あんなにきっぱり断られると心に来る。ダンデくんが嫌いだと分かっているのに、一般人との違いをつい指摘してしまった私も悪いんだけど。
 残念ながら今回も流行に乗ることは無理そうだ。一体何なら良いのかなあ。


****


「よっ!ダンデ!」
「キバナか、お疲れ様だぜ!」
「そっちこそな。そういやオマエ、この前なんで来なかったんだ?」
「この前?何か予定が入っていただろうか」
「あー違う。仕事じゃなくて。パフェだよ、パフェ!」
「パフェ……。……、ウールーか?」
「そ!オレさま初めてだったかも。オマエ抜きでナナシちゃんと会うの」
「は?ナナシと?どういう事だキバナ」
「あれ?聞いてねーの?」
「……聞いてない」
「マジ?てっきりオマエの許可済みなのかと思ってたわ」
「……別に、ナナシが何しようとナナシの勝手だ。わざわざオレに許可を取る必要は、」
「はいはい。それ、ナナシちゃんの前でちゃんと目を見て言いなよ。『こわいかお』せずにな」
「っ、オレは」
「じゃあ可哀想なダンデくんに写真見せてやるよ!これが店内で、パフェ本体で〜、これは嬉しそうに写真を撮るナナシちゃん!目をキラキラさせて可愛いよな〜!んでこっちは〜……いででででっ!」
「キバナ、その写真は全てオレに送ってから消去しろ。いいな。それと急用が出来たから帰る。スタッフに伝えておいてくれ。じゃあな。リザードン!」
「ばぎゃっ」
「あっおいダンデ待てって!……あ〜、ホップも居たんだけどな。こっちが楽しそうに話すナナシちゃんとホップで、こっちは食べるのが勿体ないって溶け始めたウールーのかき氷に慌てるホップ……」

「……ナナシちゃん、なんか、ごめんな」





2021/08/10




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