変わり始めたガラルチャンプ

*ポケマスイベントネタバレ有り
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「やあ!こんにちは」
「あ、ダンデさん。こんにちは」

 今日も今日とてヒナギク博士の研究所でタマゴの孵化装置を管理していると、ダンデさんが訪ねて来た。気のせいかもしれないが此処へ来る頻度が上がっているような。前までは研究所に辿り着くことすら出来なかったのに。
 そう、丁度あの重そうなマントを着なくなってから。

「まだ預かっていたタマゴは孵っていませんよ?」
「分かってるぜ」
「はあ」

 じゃあ何をしに来たのかとは流石に問う事は無いが、私だって一応仕事中なのだから出ていって欲しい。いや、少し前までならそれを問う事も出来たのかもしれない。
 最近、彼の纏う雰囲気が変わった気がするのだ。なんというか、人を寄せ付けないというか。自分でもよく分からないのだけれど、とにかく話しにくくなったのだ。
 でも無言で過ごす訳にはいかない。私は博士の助手なのだ。下っ端だけど。誰に対しても平等でなくてはならない。

「……そういえば、ホップくんは元気ですか?」
「ああ!博士になるためだと毎日走り回っているぜ!」
「そうなんですね。すっかり馴染んだ様で良かったですね」
「なんでだ?」
「え?」

 まただ。時々こうして話が噛み合わなくなる時がある。ホップくんがパシオに来ると決めた時、嬉しそうに、でも不安そうに心配して居たのはダンデさんだったのに。
 それに、弟さんが新しい環境に馴染んでよかったに対して何故と疑問を持つのは兄として普通ではあり得ないのではないだろうか。これは人それぞれかも知れないけど。

「誰よりも心配してたじゃないですか」
「……ああ、そうだったな!」
「……、あはは、どうしちゃったんですか」

 ダメだ、これ以上話を続けるのがしんどい。タブレットの操作に集中するフリをして会話を終了する。残念ながら帰ってもらう切っ掛けになりそうなタマゴの孵化にはまだ時間が掛かる。
 その前に孵りそうなタマゴのトレーナーさんに連絡をして、と。そろそろ研究所のファームも一杯になって来たので博士に拡張をお願いしなければならない。孵ったポケモンを引き取りに来ないトレーナーさんも居て、それが中々の負荷になっている。
 あ、今連絡をしたトレーナーさんからそのまま預かって欲しいとの連絡が来た。仕方ない、連絡が来ただけマシと考えるしかない。
 孵化装置を開け、今にも孵りそうなタマゴを取り出す。それを見ていたダンデさんが不思議そうに話しかけて来た。

「それ、どうするんだ?まだ孵ってない様だが」
「えっと、そのまま預かって欲しいと連絡が来たので。研究所のファームに連れて行くんです」
「……孵ったポケモンを育てる気がない、と言うわけか?」
「まあ……。仕方ないですよ。皆さんそれぞれ事情があります、しっ」

 何気なくチラリと見上げた視界に恐ろしいものが映ったように感じて急いで目を逸らす。いや、そんな筈は。きっと気のせいだ。もう一回、確認をして。

「ん?どうかしたか?」
「あっ!いえ!なんでもないです!」

 バチリとあった視線にまた驚いたが、その目はいつも通りのものでホッとする。ほら、やっぱり気のせい。彼の目は、弟であるホップくんと同じ黄色い目。きっと遺伝的なものだ。
 その目が赤く見えるなんて、最近身に纏うようになった装飾の赤と、バディを組んだポケモンの赤と同じ様に見えるなんて、そんな事がある訳ないのだ。

「……では、私は少し席を外しますので」
「そうか!じゃあオレも帰るぜ。またな!」
「は、はい。また……」

 ユラユラ歩くたびに揺れるポニーテールと腰布。彼が進むたびに、やっと彼との距離が開いていく。
 それでも私の身体は、恐怖で震えが止まる事はなかった。





(なんかよく分からなくなりましたが、私もよく分かってないので大丈夫です!なんかこう…イベストでダンデさんはムゲンダイナとの一体感が〜とか言ってたんであっこれ絶対ムゲンダイナの思考に飲まれていくやつだ…となりまして。今回は人間の勝手で捨てられたも同然のポケモンが大勢居るということがムゲンダイナの怒りに繋がりかけたって感じです…(どういうことだ…?))

2021/08/12




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