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休みだから一人でぶらぶら買い物でもしようかと渋谷の街を歩いてる時だった。行き交う人々の中で目を引く桃色の髪が視界に入った。


「ねー乱数!さっきの服ほんと可愛いありがと!乱数に見てもらってよかったぁ!」

「オネーさん、すごく似合ってたよっ!♪」

「やだっ、嬉しい…っ!ねぇねぇ今からご飯どう?ご馳走するから!」

「え〜、いいの〜?」

「もちろん!乱数の食べてるところ可愛いし…っ!」


あ、乱数くんだ。

細身の体にふんわりとシフォンスカートを身にまとった可愛らしい女性の隣で乱数くんが歩いていた。

その女性に負けないくらい乱数くんも可愛らしい。

俺の目は乱数くんを追いかけていた。

特に2人で会おうなんて約束もしてないから、乱数くんが誰と過ごそうが俺に何かを言える権利もないけど…。

少しだけ、女性と過ごす乱数くんを目撃して寂しいような気持ちになりながら見なかったふりをしようと顔を背けた。


「よっ、なまえ!」

ぽんと肩を叩かれてパッと振り向く。

「…おおっ、久しぶりじゃん…!元気してた?」

「もちろんー、さっきすれ違ってなまえじゃね?って気づいて戻ってきた!一人?もし暇なら飯でも行かね?」

偶然にも久しぶりにあった友達に俺は驚いて笑った。

「うん、1人。ご飯行く?どこ行く?」

気の合う友達のため、その場でどこへ行こうかという話に。友達の手が俺の肩に回って、くいと引っ張られて歩き始める。


「あれっ、なまえじゃーん♪」

明るくて高い、人懐こそうな声を辿って前を見た。
友達に肩を組まれたままの俺の目の前にはさっきまで見ていた乱数くんがいる。

「あ…、乱数くん」

「え…飴村乱数?え、なまえ知り合いなのか?すげぇっ」

「どうしたの〜!このあとボクと約束じゃなかったっけ?♪」

「え…?」

このあと…?約束…?今日は特に乱数くんと会う約束なんてしていなかったはずだ。乱数くんに予定があるから、と会う約束はしてなかったし…。それに乱数くんはさっきまで女性と2人でいたのに…。

「ご、ごめん…そうだったっけ…?」

「も〜なまえひどぉい!」

「なまえ予定あったのか?じゃ、また今度食べよーぜ。美味しいとこ見つけたからさ」

「あっ、おにーさんも一緒にどうかなぁ?」

「えっ…まじいいんですか?!」

「もちろん♪なまえもいいよね?」

「う、うん…」

「じゃあ行こいこっ♪」

今日約束してたかな…なんて困惑している間にあれよあれよと乱数くんと友達と俺という3人でご飯に行くことになった。

乱数くんおすすめのお店に入り俺と友達が隣同士、向かいに乱数くんが座った。

「で、こいつ、その時泣いたんだよな〜」

「あははっ!面白ーい!」

「や、やめてよ…恥ずかしいからさ…」

ご飯を食べながら俺の隣で昔話をする友達を制しながら俺は乱数くんを見た。面白く話す友達に乱数くんはにこにこと笑いながら聞いている。乱数くんにも話したことない恥ずかしい話もあって俺は顔を赤くしながら友達を肘でつついた。

「乱数くんこいつの話は聞かなくていいからね…」

「…えー?面白いのに〜♪」

にこにこと笑う乱数くんは甘い食後のデザートを口に含んでぺろりと唇を舐めた。その姿には友達も見惚れてしまっている。

恥ずかしいけど…乱数くんが面白いと思ってくれるなら…仕方ないか、とその後続いた友達の話にも強く止めることはしなかった。

「じゃあ、俺はこれで。またななまえ〜、」

久しぶりに会った友達と別れたあと、俺と乱数くんは2人になった。

「乱数くん…今日、大丈夫だったの?」

「なにがぁ?」

2人になった瞬間、乱数くんが俺の目を見てくれないことに気づいた。さっきまで3人でいた時はにこにこ笑って目を合わせて話していたのに…。

「予定があるからって…話だったから急に3人でご飯なんて大丈夫だったかなって…」

「…ねぇねぇ、家くる?」

「え…、今から?」

「うん、ていうか来るよね〜?」

俺の返事も聞かずに歩き始めた乱数くんに慌てて小走りで追いついた。

「いいの…?俺は大丈夫だけど…」

大丈夫だけど…。の後に続く返答は帰ってこなかった。棒付きキャンディを口に含んだまま無言で歩く乱数くんに俺は少し違和感を覚えながらついて行った。

乱数くんちの玄関まで来て、乱数くんが鍵を開けた。

俺より背の低い乱数くんの丸いピンク色の頭をぼうっと眺めながら、中に入る乱数くんに続いて流れるように玄関に入った。

靴を脱ごうとした時だった。

乱数くんが振り向いて、口に入れていたキャンディをチュプ、と口から出して俺の口に押し付けてきた。

「んっ、」

ぐいと、押し込まれて慌てて舌がそのキャンディに触れる。甘い味が舌を通して脳に伝わった。

乱数くんは俺の口にその棒付きキャンディを入れ込んだまま、ぐりぐりとキャンディを動かした。

「んぅ、ら、むら、くん、」

困惑して乱数くんを見下ろすと友達と別れてから初めて乱数くんと目が合った。強く睨まれるような視線に俺は何か怒らすようなことをしただろうかとたじろぐ。

「誰あいつ?ていうか、何2人で遊ぼうとしてたの?」

乱数くんの口は綺麗な形をして笑っているのに目が全然笑っていない。

「う、ぅ」

答えたくてもキャンディを口の中で動かされて舌が上手く使えない。

「言ったよね〜?ぶち犯すって。頭の悪いなまえには理解できなかったのかなぁ〜」

首をこてんと傾けながら乱数くんは喉奥をぐりと押して、反射的にひくついた。

「んっ!!」

「…わかってるよな?何が悪いか。」

乱数くんの口から低い声が零れた。

「ごめ、なさ」

「あー、だめだめ。悪いと思ってないのにすぐ謝る、そんなの全然意味ねぇんだよ」

目を細めて冷たい視線で俺を見る乱数くんに心臓が震える。乱数くんの手が服の襟を掴んでぐいと引き寄せられた。

「分かんない奴には叩き込むしかねぇよな」

唇に触れるか触れないか、至近距離でその脳に響くような低音が腹にじわりと伝わった。

強い力で引っ張られて、寝室のベッドに押し倒された。
口にはキャンディを突っ込まれたまま服に手をかけられる。

「ふふっ、キャンディ落としたら、めっ!だよ」

くすりと笑う乱数くんの手が体を這う。

すぐに俺は口を閉じていることが我慢できなくなって、ぽろりとキャンディは口から零れ落ちた。

唇の端から垂れ落ちる甘い涎を乱数くんは舐めて笑った。
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