「ほんとごめんねなまえ。アイツ空気読めないやつでこっちも困ってるの」
「ううん、構わないよ。それにしても、姉弟って似るんだね。――羨ましいなあ」
申し訳なさそうに頭を下げられ、昨日の出来事を思い出す。
突然部屋に飛び込んでこられたことに驚きはしたが、仲良くしてくれる友人の弟となれば当然、悪いように扱うことなどはできないのが普通だろう。それに私には兄弟がいないので、面倒見がよく明朗な性格の友人と過ごすうちににぎやかな空間を好むようになったため、昨日はまったく苦しく思わなかった。寧ろ楽しかった。目の前で行われるやりとりに涙が出るほど笑った記憶は新しい。
「よかったらだけど、またウチにおいで。弟もあんなんだけど、アンタが楽しんでくれるなら招待する」
私の意を汲んだ友人は神妙な顔から一転して普段の明るさを取り戻した。
「お姉さんに似て、すっごく優しい子だったなあ。初対面の人と話すの苦手だけど、弟さん不自然にならないように話し振ってくれてたもん。またお邪魔させてもらうね」
重い沈黙を作らないよう何らかのアクションを起こしていた姿は、いわゆるクラスのムードメーカーに違いなかった。――きっと、彼は優しい。
細やかなことであったが、それがどれだけ嬉しかったことか。もしかすると、安心したように笑う友人よりも、人を気に掛けたりすることが自然にできる人間なのかもしれない。私を原因として友人がそうであるように、彼をそうさせるものがあるのだろう。
「なまえ褒めすぎ。うん、タイシも楽しかったって言ってたから、またきて」
「そっか、よかったあ。私のことも伝えといてね」
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