謙也、いいところに!と声がかかった。時々話すクラスの女子からだった。

「これ悠樹くんの忘れ物やねん。あんた走って渡してきてくれへん?」
「は?」
「悠樹くんHR終わってすぐ帰ってもうたみたいなんやけど、あんたの足なら走れば追い付くやん。やからよろしく!」

そう言って渡されたのは悠樹のスマホだった。廊下に落ちていたのを拾ったらしく、悠樹くんファンだと自称する彼女にはそれが悠樹の物であるとすぐに分かったらしい。
彼女は謙也にスマホを渡すとさっさとその場を後にした。謙也は隣で黙って成り行きを見ているユウジに視線を送る。

「……これ、ユウジが届けてくれへん?」
「なんでやねん」
「」