1話:輪廻転生

いつの間にか長い眠りについていたような感覚で目が覚める
しかし、どいうわけか私はまだ暗い空間にいた
どことなく水の中にいるときのような泡が出ることから水の中にいるのだと推測できる
手や足を延ばしてみるが意外と見えない壁も様なものがあってその場から身動きが取れずにいた

今自分がいる空間が狭いことがわかり、更にパニックになって暴れる
何故自分が此処に居るのかがわからない
出してほしいと叫ぼうとしても何故か声が出ないのだ…
バタバタ暴れていると急に左足を掴まれてぐっと下に引っ張られた

離せと暴れるもその掴まれたものは、離れる気配がない
どんどん下に引っ張られて暗い空間から一筋の光が見えた

どうやらつかんだ何かは私を暗闇から出そうとしているらしい
そう認識すると体は素直に重力に従った

光に包まれて目をつぶる
出られた!と大きな喜びを声に出したつもりが何故か「おぎゃー、おぎゃー」と赤ん坊の泣き声が室内に響きわたる

近くに赤ん坊でもいるのだろうか?
なんて思っていると私の体は布かタオルに包まれて浮遊感に襲われた

よくみると看護婦さんらしき人が、私を抱き上げているようだ…
…ん?抱き上げてる?

私は高校生なのに、よく抱えられるなと思っていると
看護婦さんが笑顔で誰かに向けて行った

看護婦「おめでとうございます、元気な女の子ですよ」

といって、ベットに横になる女性に手渡しながら言った
まさか…と一つの嫌な予感が脳内に過りながらも女性は私を受け取りこう言った

「はぁ…はぁ、よかった…やっと会えたね…
初めまして“私の赤ちゃん”…私がママよ…これからよろしくね」

と微笑んで見せる彼女はとてもきれいだった…
そして私に向けられていった気になる単語
“私の赤ちゃん”!“私がママよ”どうやら私は転生をしてしまったらしい
死んだ覚えなんて…ないんだけどな…と思いながら遠い目をする

「この子、あんまり泣かないわね…具合が悪いのかしら?」
看護婦「いえ、ただ眠いみたいですよ?ほら、うとうとしてますし…ふふ、可愛いですね」

と微笑ましくこちらを見ていた看護婦に、母らしき人は「えぇ本当に…あの人に似てそっくりだわ」と笑みを浮かべていた

意識が飛ぶ前に「おやすみなさい」という声が聞こえて意識を手放したのだ

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