えびばでぽっきー〜自虐発言も程々に〜


「ポッキーゲーム?」



「そ♪気の利くコウ君からルキ君へポッキープレゼンツー★」




ぽいっと赤い箱を渡されて、俺はその場に立ち尽くす。その箱には小さなメモがぺたりと貼ってあってそのメモの内容に盛大な溜息を吐いた。




「何が“花子ちゃんともっとラブラブになってね★”だ。コウのヤツ…」




くだらない、そう思いつつも俺は少しばかりの下心に二度目のため息をついた。俺も所詮男と言う事か…そのまま花子を探しに行くべく教室を後にした。



暫くして容易に彼女を見つけることが出来たが、傍には何故かユーマがいて俺はそのまま声をかけずに聞こえてくる会話を聞いていた。




「ポッキーゲームですか?」



「そ、折角なんだしルキとしねぇの?」




…全く、俺の弟たちは揃いも揃って馬鹿なのだろうか?呆れて三度目のため息をついた時、花子がキョトンとした顔のまま首を傾げた。



「え、ルキさんがサディストなのは承知しておりましたがそこまでサディストなんですか?」



「はぁ?何言ってんだよお前。」




ユーマの言うとおりだぞ花子。
一体今の会話でどうして俺がサディストだという結論に至ったというのだ。




「だって私みたいな不細工にポッキー突っ込んでドキドキして待ち構える見るに堪えない顔を見て楽しむんでしょ?サディスト以外の何者でもないですよ。そんなに私がブヒブヒ言ってるの見たいんですか」



…全くアイツは。
ノンブレスで放たれた自虐的発言にユーマでさえ引いてるじゃないか。何度言えばわかるのか、アイツは自分の魅力に無頓着すぎるな。




「おい、花子。」



「?あ、ルキさ、ぅむ…!」



「ん…」




背後から声をかけてやればくるりとこちらを振り向いて俺の名を呼ぼうとする唇に有無を言わさず先程コウからもらったそれを一本突っ込んでやった。そして間髪入れずにその菓子の端を咥えて食べ進める。




「お、おいルキ…ここ廊下だぞ。」




うろたえるユーマをよそにそのままどんどん食べ進めているとそれに比例して赤くなる花子の顔を見つめて満足げに微笑んだ。




「ん…っんぅ…!」



「ん…んん」



「やりやがった…」




周りから黄色い悲鳴が上がる。
そして弟のため息も。それもそうか、もう今俺と花子を繋いでいた菓子はない。


つまりは俺と彼女の距離はゼロだと言う事だ。今まで咥えていたそれの所為で少しだけ開いていた唇に噛み付いて舌をねじ込ませて深く深く口付けてやれば震える手で俺の服を掴む。嗚呼、これが確信犯ならば花子は相当な悪女だな。



頭を固定し、腰を抱き、先程よりも激しく口内を嬲ってやる。目の端からポロリ、一滴の涙を確認してから名残惜しげに唇を離しそっとその小さな唇を指でなぞる。



「ゃ、ルキ、さ…」



「今度あのような事を言ってみろ、次は人前で犯してやるからな。」




極上の笑顔でそう言えば、花子の顔がサッと青くなる。赤くなったり青くなったりと忙しい奴だ。



「ルキさんの鬼畜…」



「何を言う。俺のモノを貶すお前が悪いんじゃないか。」




二三度頭を撫でてやればまた少し顔を赤くするものだから俺は思わず笑ってしまった。
この恐ろしく自身を蔑にする家畜の調教はまだ始まったばかりなのだ。



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