えびばでぽっきー!〜下僕彼女とイケメン紳士様〜


「レイジさん!ポッキーゲームしませんか!?ポッキーゲーム!」




「はぁ…またそのような下らない事を貴女は…」




「ですよね!」



くそう!泣きそう!
両手に赤い箱を持って勢いよく彼の部屋に突撃したのはいいものの肝心のレイジさんはそんな私を見て憐みの瞳をこちらに向けて盛大な溜息。
うう、そうだよね。レイジさんは品行方正なお方だものねこんなしょーもない遊びには付き合ってくれないか…




けれど、ちょーっとは構ってくれてもいいんじゃないかなぁ…なんて折角恋人同士なんだからさぁ彼女に構ってあげるのも立派なお仕事だと思うんですよレイジさん。




がっくり肩を落としていると彼のいる方向からもう一度溜息。
あ、やばい。嫌われるかも…そう思うとじわりと自然と涙があふれてくる。やだなぁ、こんなめんどくさい女嫌われてもおかしくないじゃないか。




「花子さん、」




「は、はい…って、んん!?」



名前を呼ばれて思わず顔をあげると不意に触れた彼の唇。ちゅっと可愛らしいリップ音が部屋に響いて離された先には少し困ったような彼の顔。




「キスがしたいのであればそう仰ってください。そのようなはしたない遊びをしなくてもいつでもして差し上げますから。」



…ね? ちょんと、人差し指で私の唇に触れて微笑む彼はもう本当に素敵で私は思わず顔を赤くしてしまった。




「おや、今日は随分と可愛らしい反応をするのですね。花子さん。」



「ああああもうレイジさん本当にイケメン好き愛してる抱いて!」



「ふふ、知っていますよ。そんな事。嗚呼、けれど…」




“私の可愛い下僕はこの本が読み終わるまで【待て】ができますよね?”


「がんばります!」


素直で宜しい。
そう微笑みかけられてはもう私はその場で正座するしか選択肢はなかったのである。



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