年上彼女の威厳とは


「ぁー…マジ疲れた。おい花子、俺寝るから着いたら起こせよな」



「任せてよユーマ君!ゆっくり眠りにつくがいいさ!」



昨日一日中起きて終わりそうもない課題をユーマ君に手伝ってもらい上機嫌な私は自身の胸をどんと叩いて高らかに宣言した。
そして足取り軽く電車の席に座ると彼はまるでスイッチを切ったかのように瞳を閉じたのだ。



いつもいつも私が年上なのにこうして頼ってしまってごめんねユーマ君。
せめてこんな時くらいは肩を貸してあげるから、目的の駅に着くまでゆっくりやすんでね。
そんな事を考えながら1人の空間に浸れるように一瞬だけ瞳を閉じた






…のがいけなかった。



「…、…花子。…おい、花子。起きろ」


「…ぇ、」



ゆさゆさと、冷たくて大きな手が私の体を揺する。
ふと目を開ければそこはまだ電車内で、車内アナウンスが次の駅はと目的の駅名を無感情に垂れ流ていた。
…アレ、私は一体何をしていました。記憶がぶっ飛んでるんですけれど。
ゆっくりと遅い回転の頭で思考を巡らせ今の状況を確認して私の表情は一気に青ざめる。




「ごごごごごごごめんなさいユーマ君!わ、私寝ちゃって…!?しかもユーマ君の肩まで借りて…!」




そう、乗車していた時あれだけ意気込んでいた私はすやすやと爆睡していて、事もあろうにユーマ君のその大きな肩を借りてしまっている状態だったのだ。



ああもう、折角お姉さんの威厳を見せてやろうと思ったのに台無しじゃないか!



情けなさすぎるぞ私!がっくりと項垂れていると不機嫌顔なユーマさんが困ったように笑って
わしゃわしゃと私の頭を撫でる。あああセットが崩れちゃうよ…




「ったく、寝ようと思ったらお前が先に寝ちまうし。しかも俺に寄りかからねぇで反対側に倒れちまうしよ。ハラハラ心配で寝れなかったっつーの、ばーか。」



「ううぅ〜…ご、ごめ…なさい」



嗚呼もう本当に恥ずかしい!
ていうか、と言う事はユーマ君は結局一睡もしていないと言う事になるんじゃないのか!?
これでは私の方が年下みたいじゃないか。せ、切ない…
けれどユーマ君はそんな私を見て小さくため息をついてまたにっこりと笑ってくれた。




「やっぱお前、俺がいないとダメだな。」



「こ、これからもどうかよろしくお願いします…」




情けないけれど、どうやら彼の言う通り私はユーマ君が傍に居ないとダメみたい。けれど彼の傍をこんなにも安心して力を抜ける場所にしてしまった本人にだって非はあると思うのだ。




「ユーマ君、ユーマ君。こんな頼りないおねえさんだけど見捨てないでね。」



「頼まれたって見捨てねぇよお前みたいな馬鹿。」



そんな力のない会話と同時に私達は互いに力なくふへへと笑いあった。



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