サンタの気遣い
「花子さん?その恰好は一体…」
「見てわかりませんかレイジさん、サンタですSANTA!」
そんな事は一目見れば誰だって理解できますよ。
私が問いたいのはクリスマスだなんてとっくに過ぎてしまっているにもかかわらず
何故そのような格好をしているかです。
まさか遅れてクリスマスパーティでも開くおつもりですか下らない
私達は吸血鬼なのですよ?そんな馬鹿げた事する訳ないでしょう。
長いため息をつけば彼女は得意気に大きな白い袋をどさりと目の前に置いてふんぞり返った。
「日頃レイジさんにお世話になっているのでクリスマスプレゼントという名の感謝の気持ちをと!」
「わかりました…わかりましたが、何故その袋動いているのです?」
もう時期や理由などは彼女に聞いても無意味だろう。けれど、それでもどうしても突っ込みたかった。動いているのだ…袋が。
だが私の問いに彼女は只々微笑むだけで何も答えてはくれなかった。
そしてその代りにと言わんばかりにその袋のひもをシュルリと解いて私は露わになった袋の中身と目が合って一瞬気を失いかけた。
「………は?」
「いやぁ、連れてくるのに苦労しましたよーホント。」
どうだすごいだろう?と言わんばかりの自慢げなその瞳を出来ることならこの指先で潰してやりたい。何がプレゼントだ、また厄介ごとを持ち込んでこの人は…!
「花子さん…っ、返してきなさい!今すぐにです!」
「えぇー!?折角のプレゼントなのにー!?」
ぶーぶーと私の怒りの言葉に不満を叫ぶ彼女に
遂に我慢できなくなり頭に一発大きな音を立ててげんこつをお見舞いした。
そして彼女曰く私へのプレゼントを指さしてもう一度声を荒げる。
「これの!どこが!プレゼントなのですか!只の無神ルキでは!?」
「先程から煩いぞ逆巻の次男。少しは落ち着いたらどうだ。」
「貴方は落ち着き過ぎなのですよ!少しは自身の置かれている状況を把握してみてはいかがですか!?」
「人生とは諦めが肝心なんだ。」
わなわなと震える私に対してどこまでも冷静なルキは頭の上の花子さんによってつけられたであろう可愛らしいピンクのリボンをちょいちょいいじりながら真顔で立ち上がった。
「はぁ…今日一日だけでいいんだな?花子。」
「はい!宜しくお願いしますー!」
「は…?」
彼は小さくため息をついて一緒に持って来たであろう黒いエプロンを華麗に装着して「まずは掃除からか」そう呟いて部屋を後にした。
取り残された私は呆然としている。
「な、何なのですか一体…」
「いつもレイジさんはみんなのお世話ばかりでしょ?だから一日だけでもゆっくりしてもらいたくて。」
にこにこと微笑む彼女におもわずまた溜息。
全く、余計な気を回してこの人は…
そして遠くからバタバタとした物音と弟達の突然のルキの登場に驚いた各々のリアクションに思わず吹き出してしまう。
「仕方ありませんから、お馬鹿なサンタのプレゼント受け取りますよ。」
「!ありがとうございます!」
私の言葉に心底嬉しそうに喜ぶ彼女がとても可愛らしくて
その顔に照れてしまう自分を誤魔化すように小さく彼女の額を小突いた。
(「嗚呼、そういえば。どのようにルキを説得したのですか?」)
(「………ふふっ」)
(「…聞かない方がよろしいのでしょうね。」)
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