お疲れ様〜僕にご褒美頂戴!〜


ぽちゃん…


湯船が揺れる。
暖かいお湯にゆっくりと意識を奪われる。
暫く残業、早出が続いていたからこうやってゆっくりできる時間は至福だ。
明日はようやく休みが取れたからこうしてバスタイムもゆっくり時間が取れる。



「はぁ…気持ちイイ。」



ぱしゃり、お湯を指で掬って弄ぶ。
こんなまったりした時間でも頭の中で回るのは仕事の事。
嗚呼、もうホント私ってば社畜だなぁ…
けれどそんな中にも必ず隅っこに存在しているのは彼の事。



「ライト君…」



暫く会ってない、正直淋しい。
彼は欲望に忠実な人だから、きっとこの仕事が忙しかった時期
私以外の女の子を抱いていたのだろう。
別にもう嫉妬はしない。だって彼はそういう人だもの。
けれど、それでも私は彼が好き。だから仕方がない。




「ライト君…会いたいなぁ…」



ずるずる、ぶくぶく…
浴槽に徐々に沈み込んでいく身体を止めることはない。
嗚呼、このまま溺れてしまってもいいかなぁ。
いくら彼が他の女性を抱いていてもいい。
もういっそ一番じゃなくてもいい。
どうあっても私が彼を好きな事には変わりないもの…



「あー…ねむ…」



虚ろな意識の中で、扉が開く音と懐かしい声が聞こえた気がしたけれど
私はそのまま浴槽の中に完全に沈んでいった。
浮かび上がらないと死んでしまうというのに身体が言う事をきかない。
嗚呼、私よっぽど疲れていたんだなぁ…なんて。そんな事をのんびり考えているとヒヤリと冷たい何かが私を抱え上げて
暖かいお湯の中から救い上げた。






「………ん?」



意識を取り戻せばそこは見慣れた天井。
どうやらここは私のベッドの上のようだ。
気が付けば服も着ているようで、そこで私は自分の手が冷たい何かに包まれているのに気が付いた。
なんだろう…ふとそちらに目をやるとそこにいたのは




「ライト君…?」


「あ、花子ちゃん!起きたの?」




私が目を覚ますのを確認するとその綺麗な顔が笑顔になって
ぎゅうぎゅうと抱き付いてきた。えっと、状況が理解できない。




「えと、ライト君…私、一体…」


「んもー!花子ちゃん覚えてないの?君はお風呂で溺れたんだよ!?」




“そんなにお仕事大変だったの?”
ちょっと泣きそうな顔になって私の瞳を覗き込んでくる懐かしい彼がすごく愛おしくて
私は思わず彼をぎゅっと抱き返した。けれど彼曰く溺れていた私の体ではうまく力が入らない。そこで私の頭に浮かんだ一つの疑問。



「あれ?ライト君…」


「ん?なぁに?」


「ん…なんで女の子の香りしないのかなぁ…って。」


「………はぁ?」




私の疑問に素っ頓狂な声をあげるライト君に
私はますます首を傾げる。




「だって私、今日までお仕事で忙しかったから…」


「うん、そうだね。」


「だから、ライト君…他の子と…って」


「はぁ…あのねぇ花子ちゃん、」





呆れたと言わんばかりに大きなため息をついて私を抱き締める腕に力を込める。
それと同時に自然と香ってくる大好きなライト君の香り。
うん、私はこの香りが大好きだ。


「ねぇ、花子ちゃん。僕から他の女の子の香り、する?」


「ううん、なんで?」


「んもうっ!察してよね!」



ちゅっと可愛らしい音を立てて唇にキスをされて、その感覚がくすぐったくて思わず目を閉じる。


「花子ちゃん、僕はねぇ…君が思ってる以上に花子ちゃんの事、大好きなんだよ?」


困ったようなその顔が可愛くて愛おしくて
私は思わず自分から彼に口付けた。


「私もライト君大好き…」


私がそう伝えると彼が嬉しそうに笑ってそのまま押し倒してきた。
一瞬訳が分からなかったが状況を把握。私は今とんでもなく身の危険を感じている。




「あ、あの…私、お仕事で疲れて…」


「でぇもぉ、明日お休みでしょ?だから待ちきれなくてバスルームに侵入したって言うのに
花子ちゃん倒れちゃってるしさぁ?」



あ、やだそのふくれっ面可愛い。
なんてのんきに考えているとするりと服の中に忍び込んでくる冷たい手。


「あわわわ…ちょ、ライト君…!」


「ねぇ花子ちゃん、キミを今まで我慢した僕にご褒美くれないの?」


「ぅ〜…うぅ〜…もー!」


そ、そんな可愛くおねだりされたら断れるわけないじゃないの!
だって私はこんなにライト君の事が大好きなんだから。観念したように私は彼の首に腕を回した。



「甘やかすのは今日だけなんだかねっ!」



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