こわいゆめ
コンコン
人がぐっすり眠っていたにもかかわらず、そんな控えめな音。
誰だよ棺桶叩くクソ野郎は…
俺はそれに対して反応をせず無視を決め込んだ。すると暫くして小さなすすり泣きの音。
「グスン…スバル君」
ク ソ 野 郎 じ ゃ な か っ た !
俺は慌てて棺桶の蓋を開けてさっきまでソレを叩いていた張本人を確認する。
するとソイツは顔を真っ赤にして大粒の涙をボロボロと零していた。
「どうした花子!な、なんだ?誰かに苛められたのか!?」
「ぅ…スバル君…スバルくーん!」
「ぅおおおお!?」
寝起きであまり頭が回らなかったが、それでも花子にどんな状況で泣いてるのか聞いてみると
彼女は事もあろうにいきなり俺に抱き付いてきた。
チクショウ、何だってんだいきなり…
「あの、あのね…怖い夢、見て…」
「………はぁ?」
花子の下らない理由に思わずでかい声をあげてしまうと彼女はあからさまにしょんぼりと言った表情をしてゆっくりと俺から離れていってしまう。
「お、おい…花子?」
「ご、ごめんなさい…変な理由で起こしちゃって…ライト君の所に行ってくるね…」
「ちょっと待てぇぇぇえ!なんでよりによってライトの所だよ!阿呆か!さてはお前阿呆だな!」
残念そうに肩をがっくり落としたまま部屋を去ろうとした花子の腕を思いっきり掴んで勢いよく引っ張ってやると、いとも簡単に俺の腕に収まる。
全く、こんなに軽いんじゃ心配で仕方ねぇよ馬鹿。
「だ、だってライト君優しいから…一緒に寝てくれるかなって…」
「アイツはこの世のすべての女に優しいんだよ性的に。」
「でも…私、今夜は一人じゃ寝れないよ…」
じわり。
先程まで収まっていた涙がまた花子の瞳を濡らす。
ああもう!ホントこいつはすぐ泣きやがる。
これじゃまるで俺が花子を泣かしてるみたいじゃねぇか!
「あーもー!」
「わわわ!スバル君!?」
俺は観念して盛大に叫びながらそのまま花子を棺桶の中に引っ張り込んだ。
勢いで引きずり込んじまったが正直この棺桶に二人は狭い…と、言う事は必然的に俺と花子の距離は密着してしまうのであって
「ふふふ、スバル君ぎゅー。」
「おまっ、オマエなぁ…!」
先程まで悲しそうに涙を溜めてたって言うのに
コイツはもう今は嬉しそうに俺に擦り寄ってくる。犬かよ。
けどそんなコイツの顔を見るのは嫌いじゃなくて俺は苦笑してそのまま花子の唇にキスをした。
悔しいけど淋しがりやで泣き虫なお前が大好きだ。
「す、スバル君…?」
「宿代だバーカ。」
俺が意地悪に微笑むと、花子は顔を真っ赤にしながら嬉しそうに笑って更にぎゅうぎゅうと俺の体を締め付ける。
「ばっか、いてぇよ。」
「これはチップだ。取っておきたまえ―!」
ふざけて楽しそうにはしゃぐコイツに溜息とデコピン。
まったく、どこまでも能天気な奴だよお前は。
「そんなに無防備にしてっとチップ分サービスすっぞ馬鹿花子が。」
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