えびばでぽっきー!〜腐ったって君が大好き!〜


「コラー!無神コウ!待ちやがれぇぇぇぇ!」


「やだ!ぜーったいヤダ!!花子ちゃんなんて大っ嫌いだぁぁぁあ!」




現在俺は恋人同士がイチャイチャする日であろうポッキーの日に自分の彼女に追い掛け回されて全力で逃げている。それもこれも花子ちゃんが腐女子なのが悪い!





事は数時間前に遡る。



「コウ君、コウ君。今日はポッキーゲームの日だよ。」



「へぇ〜?花子ちゃんはこの俺とそぉんなにポッキーゲームがしたいのぉ?」



彼女が片手の持っているのは紛れもないポッキーのパッケージ。ふーん花子ちゃんも可愛いところがあるんだねぇ。しかも大人のミルク味だなんてちょっと大胆じゃない?ポッキーゲームの後はそう言う事を期待してもいいって事かな?




「仕方ないから可愛い花子ちゃんの為に俺、頑張っちゃおうかなぁ〜?」




ずいっと彼女の目の前に顔を突き出してあざとく微笑んでみる。普通の女の子ならこれで一撃なんだけれど、花子ちゃんは表情一つ変えずに意味の分からない事を言い出した。




「や、相手は私じゃなくて。」



「…へ?」




俺の目の前に差し出されたのは無駄にイケメンに描かれている逆巻家の面々の似顔絵。まさか…いやいや、まさかね。




「コウ君には私の乾ききったBL脳を潤して貰う為に彼等とポッキーゲームをしてもらいます。 嗚呼、勿論最後までね。ちゃんとちゅーしてね。私はそれを写メに収めるんだから。」



「おい待てお前ホントふざけんなよ。」




「何言ってるの。私は至ってマジです。」



コイツ…!花子ちゃんはこともあろうに俺に逆巻家とポッキーゲームして来いといいだした。しかもキス付きとか!馬鹿じゃないの!?馬鹿じゃないの!?花子ちゃんは自分の彼氏が他人にっていうか男にキスしてるシーンとかどうとも思わないの!?いや、彼女は腐女子だから興奮するのか…って納得いくかぁぁぁあ!




「絶対!やだからね!」




「大丈夫、逆巻さん達は既に心痛みますが監禁済みです。もう後はコウ君だけなのです。」




「…ちょっと花子ちゃん、ヴァンパイア相手になにやってんの?」



「私は萌えの為なら何だってする!」



や、もうなんていうか大魔王かよ。
心の中でそう突っ込みつつ、彼女の目がマジというか既にイっちゃっているのに気付いた俺は
身の危険を感じて逃げ出した。





そして今に至るのである。




「可愛い可愛い彼女のお願いが聞けないっての!?このダメ彼氏!」




「可愛い彼女は彼氏にBL要求とかしてきません!」




ていうか花子ちゃんて一体何者なわけ!?俺全力疾走してるのに、全然普通に後ろついてくるし、息上がってないしホント怖いんだけど!!そしてついに屋上まで追い詰められて俺は逃げ場をなくしてしまった。




「ふふふ…もうここまでだなコウ君…」



「う…うぅ…!」




ガシャン
フェンスまで追い詰められてしまい、もはや打つ手なしの状態だ。すると、突然花子ちゃんがぎゅっと俺に抱き付いていた。一体何事かとされるがままになっていると彼女は顔をあげてニッコリと微笑んだ。




「みんなとチューしてくれたら、私、その後コウ君に沢山ご奉仕するから、ね?」




「…っ!チクショー!わかったよ!6人の野郎位まとめて相手してやんよ!!」




「うえーい。ちょろコウ。」



「ぅるっさい!ばーかばーか!」




反則!その笑顔とその台詞は反則だ!!
もともとキミに弱いのわかってるくせにそんな事!酷いよもう!そして俺ってばちょろすぎる!!




「もう、花子ちゃんを好きになった俺がわるいんだからね!!」






俺の叫びは夜の空に響きわたった。





―その後、とんでもなくへこんでる逆巻家と
複雑な表情の無神コウと
ニヤケが止まらない花子を見かけた
無神家三兄妹が首を傾げたのはまた別の話



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