6:金曜
ふわふわ。
週の終わりの金曜日、学校を出たら金髪のお菓子様がぼーっと眠そうに立っていた。
あ、あれ?何で彼が此処にいるんだろう。
「花子…おかえり…ふぁ」
「え?あの、何でシュウさんがここにいらっしゃるのですか?」
今日はどなたが迎えに来てくれるのかなってそわそわしていれば予想外すぎる人が待っていたから思わず二度見してしまった。
な、何で何も事情の知らないはずのシュウさんが此処にいるんだろう。
うんうんと考えても答えは見つからず、どうしようって思ってればぐいっと彼に腕を引っ張られてしまう。
そしてすっぽりとシュウさんの腕に収まってしまえばふわり私を包み込む彼の香りにドキリとする。
「花子…痴漢に襲われたんだって?」
「襲われてませんよ?遭遇しただけで…」
「そんなの同じだろ…?はぁ心配するの面倒くさいんだけど」
彼の少し話が盛られてしまっている言葉を否定すれば不機嫌なお顔が私を睨みつける。
そして片手に持っていたカバンをぽーいっと何処かへ放り投げられてしまった。
「ああ!鞄っ!」
「もうアレいらない。…今日で行事終わったんだろう?待った俺に感謝してほしいけれど。」
…え?
あ、あの言っている意味がさっぱり分からないのですがシュウさん。
確かに学校の行事は今日で終わりだ。
だからこのイケメン様にお出迎えされるのも今日が最後で、ちょっぴり淋しいなって思ってれば意味の分からない彼の台詞に首を傾げるばかりである。
というかあの、本当に鞄。鞄返してください。
教科書とかノートが入ってるんですよ。アレがなくちゃ明日から勉強できないじゃないですか。
オロオロとしているとずいっと私の前に差し出されたのは可愛らしい何処かの学校の制服。
あれ?このデザイン、シュウさんの制服とちょっと似てる…
呑気にそんな事を考えていればそのシュウさんの口からスーパー爆弾宣言が落とされてしまう。
「心配するのめんどくさい…こうやって迎えに来るのもめんどくさい…だからもう花子は俺と一緒の学校な。」
「…は?はぁぁぁぁあ!!!!?」
これが当然の流れとでも言いたいような顔でそんな事を言われてしまい
私は只々絶叫するしかない。
けれどそれがお気に召さなかったのかシュウさんは顔を歪めて「うるさい」ってぼやいたその口で私の唇を塞いでしまった。
ファーーーー!!!!?
今週最後の変な声は声に出すことさえ許してもらえない。
ゆっくり離されれば相変わらず意地悪な微笑みで私を射抜くからもう心臓は今にも破裂寸前だ。
「ようこそ嶺帝学院高校へ…最高学年のこの俺が今からお前を連れていく。」
「き、き、聞いてませんよそんな事!!ていうか私の許可は!?ちょっとシュウさん!?」
グイグイと私の腕を引っ張って進んでいく彼に必死に抵抗したけれど
くるりと振り向いて拗ねた顔でひとつ、可愛い事を言われてしまえばもはや私の抵抗する気持ちは木端微塵にされる。
「やだ。これだけ俺に心配かけた花子の言う事なんてきかない。」
「…………もうもうもーう!これから宜しくお願いします逆巻センパーイ!!!」
私の半ばやけくその断末魔は空へと響き渡って
観念して連れられたリムジンへと大人しく乗車する。
さようなら普通の学校生活。
こんにちは吸血鬼だらけの波乱生活。
きっとなにもかも変態に遭遇してしまって
彼等に心配をかけてしまった私が悪いのです。
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