最高の後ろ盾


「一年留年してるクセに生意気」


「…おい花子、それが人に教わる態度?」



私の渾身の嫌味に盛大な溜息と共に降って来たげんこつに思わず色気のない声を出してしまった。


現在愛しの愛しのシュウ君とお勉強中である。
…と、言ってもひらすら勉強しているのは私だけで彼はそんな私の家庭教師役なのだけれど。


「全く…こんな問題も解けずによくあの大学受けようって気になれたな…あ、ホラ、ここ間違ってる」



「仕方ないよねシュウ君と一緒の大学が良かったんだもんその眼鏡格好良いドキドキする。」



「…俺の貴重な睡眠時間割いてやってんだから真面目にやって。」



普段かける事のない眼鏡を装着しながらノートに指を滑らせる彼は反則級に格好良くて
思わず心の感想を述べれば呆れたように長い溜息。
そんな彼に対して私も大きくため息。


「花子?」


「やっぱり今からでも受ける大学変えた方が良いのかなぁ…」



今まで言わなかった私の弱音。
確かにシュウ君はなんだかんだでとても頭がいいから、難しい大学だって余裕でA判定だ。
それに対して私は今の現状で受かるか受からないかギリギリのライン。


こんなギリギリの状態で勝負を賭けれるほど私のキモは座っていない。
だったらシュウ君と離れるのは少し悲しいけれど一つランクを落として確実な大学に入った方が私の為かもしれない。


俯いて黙ってしまえば徐に頭に酷い衝撃。
驚いて顔を上げればその衝撃の正体はシュウ君の頭突きだったようで、
びっくりしてしまって彼を見つめれば不機嫌顔な彼はいつもよりはっきりな口調で言葉を紡ぐ。



「俺の惚れた花子はそんなんじゃない。」



「シュウ君?」



彼の言葉に驚いて固まっていれば今度は優しく頭を撫でられて
戸惑いを隠せないままじっとしていればシュウ君は優しく微笑む。


「妥協とか、らしくない。花子は花子のしたい事に全力で挑めばいい。…もしそれで躓いたり転んだりしたら、こうして俺が支えてやるから」



「万年寝太郎吸血鬼様が私の人生支えちゃうの?」



どこまでも優しいその言葉が酷く嬉しくて顔を赤くしてしまったけれど
せめてもの反論と言わんばかりに悪態を付けば軽くデコピンを食らってしまった。
そしてシュウ君はそのまま不敵に微笑む。



「花子ごときの運命位余裕だっていうの。」



「ふふ、じゃぁこの際だから盛大に頑張ってみようかな」




どうやら私には最高に格好良くて優しい後ろ盾が存在するようで
お蔭で私はいつだってもし失敗したらとかそんな不安な事を考える事無く全力で物事に挑むことが出来る。



「えへへ、シュウ君…ありがとう、大好き。」



「お礼は花子の身体ってことでヨロシク」



「そ、それは初耳!」



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