million
「ちょっと二人ともやめてよ!!!!」
目の前に居るのは煽り耐性0なシュウくん。
そしてそんなシュウくんに迫る、少し勘違いが激しいルキくん。
「今、花子は熱い目線で俺を見つめた。羨ましいだろう。
どうだ、俺を殺したいほど憎いだろ?
だが、俺を殺せば花子は酷く悲しむだろう。そんなこいつをお前は見たいのか?」
「…うるさい。花子の瞳には俺しか映させない」
シュウくんが私を腕の中へ閉じ込めてしまえば形勢逆転。
…したかに見えたがルキくんはまだ余裕そうで…
「そんなに無理やりに抱いてしまえば嗜好も何もない…。
さすが、寝てばかりの男は違うな。
少しは女の悦ばせ方を学んだらどうだ?」
頭の上で何かがプチっと切れる音がしたと思えば、
私の視界にはシュウくんの顔しか映らない。
そのシュウくんが90度傾いたと思えば、少し濡れたものが私の唇に触れる。
「…嬉しいだろ?俺にこうされるの」
「…おい…逆巻シュウ…それはないだろう…それだけは…」
目に涙を蓄えたルキくんが無理やりにシュウくんから私を引き抜くと、
口の中へ無理やり舌を押し込む。
彼の目からようやく流れたものが私の頬へと伝い、合わさる口元へと流れると、少ししょっぱい味が広がる。
「消毒してやった…可哀想な花子…」
「ルキ、お前、何、消されたいわけ?逆巻の権力結集して、お前をいなかったことにしてやろうか」
私を挟んでさらに火花をバチバチと交わす二人に私はおろおろとするばかりで…。
しびれを切らしたルキくんが私を睨みつける。
「そもそも花子が悪い!!!どちらが好きかはっきりさせないからだ」
「…めずらしく意見があったな。俺も同意見だ。
花子が好きなのはどっちなわけ…?まぁ聞かなくても分かるけどな」
「ふざけるな逆巻シュウ!!!!」
そんな、二人とも好きだし、大切だし…どちらかなんて選べないよ。
答えに詰まっていると、
「…よし分かった。逆巻シュウ、どちらが花子を想っているか勝負だ」
「ふっ…望むところだ。負けるわけがないだろ馬鹿馬鹿しい」
「花子はそこで待っていろ、こんな勝負すぐ終わらせてやる」
ルキくんに頭をぽんぽんとされると、ますます険しくなるシュウ君の顔…。
勝負って何…決闘的な…?
私から少し離れたと思えば睨みあいながら、二人は一定の距離を保つ。
「…喘ぎ声が可愛い」
…は?ルキくん何を言って…
「歩き方が天使」
ちょ…ちょっとシュウくん…?!
「可憐な百合のように美しい」
「肌が綺麗」
「胸が大きい」
「そのくせスタイルはいい」
「つまりは女神の一種」
「へぇ…ルキ、お前って分かるやつだったんだな」
「お前こそ」
待って待って…二人笑顔で握手までしてるし、現状がまったく分からないよ…!!!
「だが勝負は勝負だ。決着がつくまで…いいな」
「あぁ望むところだ…いい香りがする」
「ちょっとタンマ!!!これ何の勝負なの?!」
二人に問えば帰ってきた答えは一言一句一緒で、
「「花子の好きなところに決まっているだろう?」」
頼むからいい加減にして…!!!
そもそもそんなに私の好きなところなんてないでしょう!!
そう叫ぶと二人に一気に距離を詰められる。
「…10万個は言えるな」
「ならば俺は100万個だな。逆巻シュウ、お前の敗北はたった今確定した」
「…そういうのなら言ってもらおうか。花子を穢したその舌が風化するくらいにな!!!!!」
二人の勝負を見届けるほどの心臓は持ち合わせてないけど…
こんなに愛されているのが…くすぐったい。
「…口元が緩んでいるぞ」
「いやぁ…なんか嬉しいなって思って。こんなに二人に想ってもらえて…ってへへ。ちょっと自惚れちゃったね」
盛大な溜息をまた二人はシンクロして吐いた。
「少しは俺たちの愛に溺れて自惚れたっていいんじゃないの?」
…じゃあシュウくんの言葉に甘えて、今だけは自惚れてみようかな…。
今は10万、次は100万個の愛を…
じっくりと噛みしめる。
fin
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