第一章


「日々の疲れを癒します…?何ここ」

何となくふらふらと街を歩いていたら、どこかのお城かと思うほど大きなお屋敷が見えた。気になって近くまで行ってみると、『疲れを癒します』と言う看板が出ている。

「怪しすぎだし…絶対高いよね」

こんな豪邸に入ったらいくら取られるのか…気になる気持ちを抑えて背を向けた時、誰かにぶつかった。

「キャッ」

「っ…!」

暗がりの中、一つの街灯がその人の顔を照らして、わたしは思わず息を呑む。

「誰、あんた…うちに何の用?」

「……」

「おい、聞いてるのか?」

「え…あ…!ごめんなさい!」

あまりのかっこよさに見惚れてました…なんて言えず、とりあえずぶつかったことを謝る。

「別に…っていうか邪魔だからそこどいてくれない?」

「あ…この家の人…なんですね」

「そうだけど」

「お店、やってるんですか?この看板、エステとかマッサージとかですか?」

「は?」

「え?」

目を丸くして見つめられ…というよりかは睨まれて数秒固まるけれど、わたしはそんなにおかしなことを言ったのだろうか。

「エステ?マッサージ?…ああ、もしかしてレイジの…だる…」

「あの?」

「あんた客なわけ?…めんどくさ…」

「いえ…あの…」

「着いてきなよ」

「え…あ…はい。」

断れない。違いますとか言えない。言わせてもらえない。
どうしようと内心焦りながらも期待を膨らませてわたしは、この気怠そうな王子様の後に続いた。



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