愛の宣戦布告
「なぁ花子、俺…お前の事が好きだ」
その言葉に何人も女子は歓喜の言葉を上げるだろう。
嗚呼勿論私以外だけれど。
彼のそんな愛の告白に酷く長い溜息が漏れる。
ああ、もう…結局貴方もそうなのか。
「ねぇスバル君。そういうの、いいや。」
「は?」
張り付いた笑顔で彼の告白を全力でスルーして乱暴に頭を撫でれば素頓狂な声が上がってしまう。
喜んで私が泣いたりしちゃうのとか想像してたのかなぁ。それとも盛大に振られるのを予想してたかな?
けれど現実ってのは酷く残酷だって相場は決まっているのだ。
私の事を好きだなんて言ったスバル君が悪い。
「そんなに欲求不満なら風俗とかに行けば?流石に無料でヤらせるだなんてちょっと、」
「花子…お前、何言って…」
彼の瞳が戸惑いで揺れてしまっているが
私は嗤いながらも言葉を続ける。
「私の事好きとか、そう言う事でしょ?でも申し訳ないけれどそんな都合の良い性欲処理になる気はないかなぁ」
「違う!俺はそんなんじゃ…!」
「そんなんなんだよ。スバル君」
大きな声で否定しようとした彼を言葉を遮って笑うのをやめて目を細めた。
誰だってそうだ。
愛の恋だの下らない幻想を振りかざしてシたいのは結局そう言う事だ。
別にそう言う考えを否定しようとは思わないけれど、只私をそんなモノに利用するのだけは勘弁願いたい。
「好きって言葉、簡単だよね。そう言ってれば女の子はときめいちゃうもの」
「花子…」
ああ、どうしてスバル君が泣きそうなの?
泣きたいのはこっちだよ。
“好き”だなんて甘い言葉で引き寄せてシたいのはその欲望を体に突き立てる事だけでしょう?
だったら他を当たってくれ。
愛とか恋に夢見ちゃってる可愛い可愛い女の子の所に行けばいい。
そしたらその子もスバル君も満足できてハッピッピーだもの。
「スバル君…はなして、」
気が付けば彼の腕の中で、どうしてかスバル君の腕は震えていて
私の肩に埋めている彼の頭がくすぐったくて身を捩る。
…やがて濡れてしまった肩口は彼が泣いてしまってるのだと気付かされてしまう。
「なんで…なんで、俺は…花子を好きなんだ…」
「だから、そう言うのは…ほかの、」
「花子、」
台詞は途中で彼の唇によって遮られてしまい。
一瞬の事で何も抵抗できなかったけれど、暫くして怒りと憎しみがふつふつと湧き出てしまい
思いっきり彼の頬を叩いてしまった。
けれど彼はそれでもまっすぐに私の目を見つめる。
「ごめん、でももう無理だ」
「何が…ん、」
意味の分からない言葉と共にまた塞がれてしまった唇。
ああもう一体何がしたんだと思いながら必死に抵抗したけれど彼に両手は抑えつけられて身動きが取れない。
ようやく名残惜しげに解放されたかと思えば額に音を立てた口付けを贈られてしまう。
「俺はこれからお前を俺に惚れさせる」
「…はぁ?」
何かを決意したような彼をに瞳に今度は私が素っ頓狂な声をあげる番だ。
何を言っているんだろう彼は。
惚れるとか、好きになるとか…私にはあり得ない事なのに。
けれどスバル君必死に私をぎゅうぎゅうと抱き締めてくる。
離さないように、逃がさないように…
「俺だけが花子の事を好きなのはやってらんねぇから…絶対好きにさせる」
「…しらないよ、そんなの。」
彼の必死の愛の告白さえも吐き捨てた私に
宣戦布告してきた彼の言う愛と私の愛の否定の攻防戦の幕が切って落とされた瞬間だった。
(花子に好きと愛を伝えたい)
(スバル君に好きも愛も幻だと思い知らせたい)
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