無神家ド変態の称号
「あー…だるっ」
いつもの様に一日の疲れを洗い流すためにシャワーを浴びていた。
全く毎日毎日花子に振り回されちまってこっちの身が持たねぇ。
…まぁあの馬鹿の相手をするのは嫌じゃねぇけど。
そんな事を考えていたら不意に扉の方からガチャガチャと金属音がした。
「?なんだぁ…?」
妙な異変が気になって扉の方に体を向けて覗き込めば
バターン!と大きな音あげて開かれる扉と能天気な笑顔で突撃してきたこの大馬鹿野郎。
「ユーマくーん!ご機嫌いかが!?」
「う、うおぉぉぉお!?な、花子!?はぁ!?」
突然俺の入浴シーンに乱入してきたのは紛れもない俺の彼女である花子で
大慌てで体を隠すものを探しても何もなくて
どうしようもなくて仕方なくぼちゃんと湯船に頭まで浸かった。
「?何してんの?潜水ごっこ?」
「お、おめぇこそ何してんだよ!この馬鹿花子がぁ!!!」
コイツの天然発言にイラッとして
思わず今の自分の状況を忘れて勢いよく立ち上がってしまえば
ビキリと固まってしまう花子。
そんな彼女の反応に俺も一瞬固まって反射的にギギギと自身のアレをみつめちまう。
あ、やべぇ。俺今素っ裸だった。
「きゃ、きゃぁぁぁぁあ!ユーマ君のえっち!変態!野生児!!」
「お、お前が人が風呂入ってる時に乱入してきたんだろうがよ!つか最後の野生児って何だよ意味深だな!」
両手で顔面隠しながら喚き散らす花子に対して俺も大声で叫ぶ。
その間もなんかタオルとかねぇのかと必死に色々探している。
…つかこういうの逆じゃね!?
ようやくバスルームの隅に見つけたタオルを腰に巻いて
デカイ溜息をついてじっと花子を見つめる。
するとおずおずと隠していた両手を下におろして安堵のため息。
「あ、ユーマ君の野生児ようやく隠れた」
「オイ、やっぱそっちの意味だったのかよ。」
馬鹿発言をする花子に一発デコピンを食らわせれば
少しばかり涙目になってじとりとこちらを見上げる彼女は正直可愛い。
…花子曰く俺の野生児が大暴走しちまいそうだ。
「つーか何の用だよ。いきなり風呂に乱入とか、花子の方がド変態じゃねぇか。」
「あ!そうそう!そうだった!!」
俺の問いにぱぁっと明るく笑って俺が濡れているにも関わらず
そのままぎゅうぎゅうと抱き付いてきてしまう。
だから、マジでやめてくれ。俺の野生児もうホント限界だから。
壊れやすすぎる理性と必死に戦ってるなんて気付きもしないこの馬鹿は
そのまま俺を見上げて期待に満ちた瞳。
「どどど?もっと私の事好きになった?」
「…………はぁ?」
全身からわくわくオーラを出している花子に対して素っ頓狂な声をあげてしまう。
何言ってんだコイツ。
本気で頭イカレちまったのか?
そんな心配をよそに花子はくたりと首を傾げる。
「あれ?大好きな彼とお風呂でイイコトしたらもっと仲良くなっちゃうよ?んふっ♪って言ってたんだけど…」
「よしあの変態野郎マジぶち殺す」
花子の語尾で易々と犯人を特定して
今その場にいねぇソイツに全力の殺意を向ける。
ったく、この馬鹿に余計な事吹き込みやがって…!
俺の気持ちも考えろってんだ!!
ギリギリと怒りを顔に浮かべてりゃ今度はしゅんと、今にも泣きそうな顔になってしまった花子に少しばかり動揺する。
「ユーマ君ともっと仲良くなりたかったのに…」
………だから、そういう俺に対してまっすぐな所、どうにかしてくんねぇかな。
長すぎる溜息をついて今まで必死に保ってた理性を易々と投げ捨てて
花子の唇を塞いでしまえばきょとんとしてしまう彼女に苦笑。
もうどうなっても知らねぇ。
彼氏の風呂場にそんな可愛らしい理由で乱入しちまったお前が悪い。
「仲良く、スるんだろ?」
「!…うんっ!ユーマ君だいすき!」
俺の言葉にすげぇ嬉しそうな顔をして全体重をかけて飛びついて来た花子をいつもなら軽く受け止めてやれるけれどここは風呂場だ。
つるりと足を滑らせてしまい勢いよく浴槽の縁にごちんと頭をぶつけてしまった。
「いってぇぇぇぇえ!!!?」
「ゆ、ユーマ君!?」
余りにもの痛さにでかい声をあげれば何故かやってきてしまった俺のお兄様。
「どうした、何か大きな音がした、が…」
ビシリと固まってしまったルキはそのまま何も言わず酷く無表情でくるりと体を反転させて
その場から早々に逃げるようにさっていく。
「ちょ、ちょ、ルキ!あのこれば別にあのアレだって!」
「いや別に俺はユーマが花子に浴槽プレイで襲われたい願望があった所で大切な弟だ大丈夫だうんだがアレだな自身は裸で花子には着衣プレイなどそのなかなかマニアックというかなんというかうん大丈夫だ兄は何も見ていない」
いつもよりひっじょーに早口でそんな台詞を言いながらスタスタと去ってしまったルキに俺はもう呆然だ。
これはヤバい。
無神家変態野郎の称号が今まさに俺のものになろうとしている…!
「?ユーマ君、顔真っ青だけど…平気?今からでも仲良くできる?」
「う、うおおおお逆巻ライトマジぶっ殺してやっからなぁぁぁ!!!」
不安げに俺の腕の中で見つめる花子に正直欲情しまくりだがここで襲ってしまえば
本当にド変態になってしまうので必死になって再び理性で俺を押さえつけて
もう半ば八つ当たりの様に元祖ド変態に叫び散らしてしまった!
くっそ!今日は厄日かよ!!
戻る