甘いキミ


ちゅっ


ペロリ



…何でしょうこの行動。
私今、恥ずかしさの余り死んでもおかしくないですシュウさん。



今日は珍しく起きていらっしゃったシュウさんに一生懸命お願いしをして
話題のカフェに一緒についてきてもらった。
いや、うん。一生懸命お願いって…私一応シュウさんの彼女だからこんなに必死にならなくてもいいはずなんだけれど…


でも、それでもお願いしたらいつも眠っているけれどこうして一緒に出掛けてくれるシュウさんは優しいって思う。
以前この事をコウ君に言ったら「花子ちゃんの基準はおかしい」って呆れられちゃったけど。



けれど、今…私はカフェにシュウさんを連れて来たことを激しく後悔してる真っ最中なのだ。




「しゅ、シュウさん…あの、そろそろ終わりにしませんか…?飽きません?ていうか飽きてくださいお願いします。」



「んー…?やぁだ。コレ、結構ハマる。…ん、」



「あわわわわわ」



私の顔は先程から真っ赤。
シュウさんはとても嬉しそう。
そして、私の左手の指はそんな彼のお口の中である。


先程ついバランスを崩してしまい、ここのカフェおすすめのフラペチーノを手に零してしまったのだけれど
シュウさんは何を思ったのかじっとクリームがかかってしまった手を見つめて
わしっと私の手を掴んだと思うとそのままお口の中へと入れてしまったのだ。



そして現在に至るのだが…



「も、もうクリーム取れましたよ!大丈夫なんで!!ホント大丈夫なんで!!」



もう五分以上はこのままなんだけれど
シュウさんは一向に私の手を解放してはくれない。
さっきからずーっと指先にキスしたりそっと舐めてみたり、ちゅーって口に含んだりしてる。
あの、心臓が、破裂します。



「…全然取れてない。あんたの指、ずーっと甘いまま。」



「…シュウさん?」



ちゅっと小さな音を立てて指先にキスをしてそんな事を言うシュウさんに首を傾げる。
おかしい、私の指にもうクリームなんてついていないのに…。
疑問に思ってみればシュウさんは少し意地悪に微笑んだ。



「なぁ花子…あんたが甘いのは指だけ?…ここは?」



「しゅ、シュウさ…んぅ」




綺麗な指が唇に触れたかと思うと一面に広がるシュウさんの綺麗な顔。
見惚れてる暇なんか与えてはもらえずそのまま彼の唇と舌が私の口内を酷く愛おしげに犯す。



「んむ…っ、シュ、ぁむ…っ」



「ん…、ははっ…やっぱり。…唇も舌も…全部甘いな。」




ゆっくりと離されればその余韻に浸る表情さえ「甘い」と苦笑されてしまい
もはや私はそんな甘い顔を赤くする事しかできないでいた。



「他は?…他はどこが甘い?…俺に教えなよ、花子。」



「し、しら…知らない…しりません、そんなの…」



そんな愛おしげな眼で私を見ないでください。
貴方のその熱いまなざしに本当に甘い甘い砂糖みたいに溶けてしまいそうです。
恥ずかしくて、胸が苦しくて、どうすればいいかわからずに
只々瞳を揺らしていればシュウさんは困ったように微笑んだ。




「なぁあんた…ホント全部甘いんだな。…身体も、心も、空気も全部全部…胸焼けしそう。」



「シュウさ、」



「でもそんな花子…すきだよ。」




先程とは違った触れるだけのキスの後にそんな言葉。
ねぇシュウさん、胸焼けしそうなのは私の方ですよ。


こんなに優しくされて、
こんなに慈しめられて、
こんなに愛されて…



貴方の愛が甘すぎて、ドロドロに溶けてしまいそう…




「シュウさん、私も…私もシュウさんがすき。」



「俺は愛してる。」



「………ずるい。」




さっきシュウさんがすきって言ってくれたからそれに応えたのに
すぐに上の感情を持ってくるシュウさんはとってもずるいひと。
けれどそんな狡さも全部甘すぎて、私を喜ばせる材料にしかなりえない。



せめてもの仕返しにと、彼が甘いと言っていたこの唇で
そっと同じく甘い言葉を紡ぎ続ける彼の唇を塞いでやった。



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