駄目人間的誕生日
「おう花子、明日お前の誕生日だろ?欲しいモン何だよ」
「生命維持装置」
「もっと一般高校生が買えるもんを要求しやがれこのクソ駄目人間が!!!」
ぎりりりりりと彼女のやわらけぇほっぺを引っ張れば「ふえにゃふぁいふぉー」とか訳分かんねぇ言語を発したのでばちんと両手を解放してやる。
ったく!!何が悲しくて彼女の誕生日に生命維持装置プレゼントしなきゃなんねぇんだよ馬鹿!!
もっとこうロマンチックな事言いやがれ!!つかそれ以前にそんなハイテクマシーン買う金なんてねぇわ!!!
呆れかえってれば先程まで抓られていた頬をすりすりとさすりながら
未だに眠そうな瞳でこちらをじとりと射抜かれる。
「ユーマ君私の誕生日期待してろって言ったのに酷いよ。…ていうか生命維持装置ユーマ君ならちゃんとくれるよね私信じてる。」
「確かに期待してろとは言ったがプレゼントの欲求がぶっ飛びすぎなんだよふざけんなそしてそんな心からの信頼はいらねぇそこだけは信用すんな。」
がいんっと彼女の頭にげんこつを降らせるとぶすっと不機嫌になってしまってそのままベッドへと潜り込んじまった。
や、やべぇ…花子のご機嫌損ねちまった。
これじゃぁ花子の欲しいプレゼントが聞けねぇじゃねぇか。
「お、おい花子…拗ねんなよ。ホラ、欲しいモン言えって俺で買えるもんなら買ってやっからよ…」
「生命維持装置以外いらない。」
「だーかーら!俺は大富豪じゃねぇんだよそんなもん買える訳…っと、」
ぐいっと普段では見せない強い力でベッドの中へと引き摺り込まれてしまって
驚きの余りビシリと固まってしまっていると花子は自分から俺の胸に擦り寄ってぎゅっとそのままきつく抱き付いてきてしまう。
「花子…?おいどうし、」
「私は生命維持装置以外いらないの。無神ユーマっていう私だけの生命維持装置が欲しい。」
「……いやいやいやいや花子ちゃんマジ待ってくれホントちょっと待てつってんだろ。」
ふざけんな。
なんつー殺し文句ぶっ放してんだよこのクソ馬鹿花子は!!!
俺の可愛い可愛い乙女心が悶絶ズキュンだわどうすんだクソが泣きそう!!!
「や、あの…花子、ちょ…」
「ユーマ君、ユーマ君。私、ユーマ君が欲しいよ…ホラ」
「あ、」
じっと彼女に見つめられてめちゃめちゃ動揺してれば不意にぐいっと顔を時計へと向けられる。
気が付けばもう0時過ぎ…花子の誕生日だ。
「あーっと…ホントに俺でいいのか?他にももっとこう…可愛い服とかうまいメシとかよぉ」
「いらないよそんなの。さっきから私はこれが欲しいって言ってるのに何でユーマ君は分かってくんないの?」
すげぇ恥ずかしくて目を泳がせながらそう言えば、花子はしつけぇと言った感じで俺の上に覆いかぶさってふくれっ面。
ったく…クソ可愛い事いってんじゃねぇよもう知らねー俺も限界だっつーの。
「えっとな、花子ちゃん。無神ユーマ君は“花子”って言う燃料がねぇと動けねぇんだわ。…くれっか?」
「うん、あげる。ずーっといつまでもあげる。だから生命維持装置(アナタ)を、頂戴?」
ちゅっと触れるだけのキスにスイッチが入った俺は花子を抱き寄せてぐるりと体勢を反転させる。
ったく…ホント、俺って筋金入りの彼女の生命維持装置みたいだ。
彼女の言動一つで簡単にスイッチ入っちまう。
「つーかこれじゃいつもと変わんなくねぇか?ったく…ちったー欲張れ馬鹿。」
「あーあ。ばれちゃった。でもホント、ユーマ君以外いらないんだよねぇ。」
コツンと額を小突けばおかしそうに笑う花子に苦笑。
そして続けられる彼女ののんびりした殺し文句に再び赤面。
「だ、だから…そーやって俺をきゅんきゅんさせるのやめろっつって…」
「ユーマ君ってさ、実は滅茶苦茶可愛いよね。知ってたけど。」
「っだぁぁぁ!!!うるせぇうるせぇ!!オラ!せめて今日はいつも以上にめちゃめちゃ優しくしてやっから覚悟しろよ馬鹿花子!!」
俺の下で今まで隠せてなかったけど隠してきた事実を真顔で言いやがった花子に喚き散らしてその唇を深く深く塞いだ。
もうこっからは可愛いなんて言わせねぇ。
「花子、誕生日…おめでとな。しっかり味わえよ?」
そっと蕩ける瞳を射抜いて囁けば
彼女はこの世の誰よりも幸せに微笑んで俺の首にゆるりと腕を回した。
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