腐女子的誕生日
「花子ちゃん、花子ちゃん!来週は花子ちゃんのお誕生日でしょ!?何が欲しい!?俺!?俺かな!?」
「切実に原稿用紙」
「お、俺の!俺の目を見て花子ちゃん!!いいいい今すぐに!!!」
………じーっ。
「う、うわああ!心の底から原稿用紙欲しいって思っちゃってる!!やだやだ!彼女の誕生日プレゼントに同人グッズだけはやだぁぁぁ!!!」
「別に天使様6体でもいいよ!!?」
「もっと嫌だよ!!!プレゼントに浮気とか俺死んじゃう!!」
ぐっと握り拳を作っていきいきとそんな事言っちゃう花子ちゃんに俺は半ば悲鳴のように喚き散らすけれど
やっぱり予想通り「うるせぇ!!」って顔面殴られた…。
うぅ…なんだよ…折角の花子ちゃんの誕生日なんだからちゃんと思い出に残るプレゼント渡したいのに…
「も、もうもう知らない!!一番欲しいものじゃなくてもいい!!自分で考える!!」
「え…原稿用紙。」
「そんなの自分で買えばいいでしょ!?あ、ヤバいもう仕事の時間じゃん!!行ってきます!!あーもう花子ちゃんの誕生日プレゼントどうしよー!!」
どたばたと仕事の準備を済ませて光の速さで部屋を飛び出したから
この時花子ちゃんがどんな顔をしてたのかなんて全然わかんなかった。
「う…うぅ〜ん…花…はありきたりかなぁ。」
楽屋に入ってファンの子達からの花束を見つめながらも考えるのは花子ちゃんの事。
うーん…確かにお花って可愛いし女の子好きそうだけど…これだけじゃ…うーん。
別の日も…
「服…俺色に染まっちゃう花子ちゃん…?アリかも…っていやいやいや!!」
仕事の衣裳部屋で自分の煌びやかな衣装を見つめながら首を傾げる。
俺好みの服を着ちゃう花子ちゃんとか相当萌え…いやいやいや俺ヲタクじゃないから!!!
更に別の日…
「アクセサリー!!!!は…っ!げ、原稿とコスプレに支障のないアクセサリーってあったっけ!?」
ロケのアクセサリーショップのショウウインドウにべったりと張り付いたけれど
花子ちゃんの日常生活に支障をきたさないアクセサリーが思い浮かばずに撃沈。
…くそう。せめて同人作家かコスプレイヤーかどっちかだけにすればいいのに!!!
そして次の日、また次の日と
着々と花子ちゃんのお誕生日は近付いて行って…
「…コウ君何コレ。」
「ううう…えら、選びきれずに片っ端から買っちゃった。」
結局花子ちゃんの誕生日当日。
俺の部屋には所狭しと彼女へのプレゼントがあって
彼女はそれを見て必死に笑いを堪えてしまってる。
「もおおおお!笑わないでよ花子ちゃん!!俺一週間一生懸命花子ちゃんの事考えまくって出した答えなんだからね!!!」
ぽかぽかと彼女を力なく叩きながら喚くと遂に我慢の限界が来たのか
花子ちゃんは大きな声をあげて大爆笑だ。
く、悔しい!!!仕方ないじゃん!!いつもだったらその人の考えを読んで何が最善かとかすーぐ見通せるけれど
今回はそうじゃないんだもん!!
辺り一面にお花、洋服、アクセサリー…
その他諸々沢山ちりばめられた部屋で俺は1人で赤面だ。
けれど花子ちゃんは笑う。
ひとしきり声をあげた後に今度はすごく幸せそうに笑うんだ。
「ありがとうコウ君。この目を使わないで一生懸命考えてくれた事が私にとってはどんなものより素敵なプレゼントだよ。」
「花子ちゃ、」
「で、でもこの量はない…ないわーぶふぉ!!!」
「んんんんもおおおおお!!!!」
折角花子ちゃんの言葉に感動してたのに再び吹き出した花子ちゃんに
俺の顔はさっきよりもぼふんと赤くなっちゃった。
恥ずかしい!!1人で勝手にときめいた俺、恥ずかし過ぎる!!!
でも、うん…そっか。
いつも誰かの考えを読んでこれに沿って行動するより
こう言う方が嬉しいんだね…少なくとも目の前の花子ちゃんはそうみたい。
もしかしたら一週間前、俺が喚き散らして出ていった後、花子ちゃんは嬉しそうな笑顔だったのかな…?
「さて、と!これ、全部私の部屋に運ぶから手伝ってくれる?コウ君。」
「え…ぜ、全部もらってくれるの…?」
「もっちろん!これはコウ君が私の為に一生懸命考えてくれたプレゼント達だからね!!!」
その時無意識に読んじゃった彼女の心も本当に喜んでいて
俺もそんな花子ちゃんの笑顔に負けない位嬉しい顔をして、勢いよく自分の首を縦に降った。
うん、こうしてだいすきなひとの為に自分で一生懸命考えるの…
なんかいいね!!
「えっと、これ…なに?」
「原稿用紙を調子乗って10000枚購入して私の中の何かが弾けてこのありさまだよね。」
「もおおおお!!ホモ原稿の海で足の踏み場がない!!このプレゼントは俺の部屋で預かっとく!!!」
結局彼女の部屋の原稿が全て片付くまで
かわいいお花も服もアクセサリーもその他諸々全て俺の部屋に一時預かりとなってしまったのはまた別の話。
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