一般ピーポー的誕生日
「ええと、シュウ君。なにしてんの?」
「何って…ナニ?」
今私はとんでもなくピンチと言うやつである。
いつも通りシュウ君が私の膝の上でゴロゴロうとうとしてたんだけど
何故か0時の鐘が鳴った瞬間ガバリと起き上がってそのままベッドに押し倒されてしまったのだ。
「花子、今日誕生日だろ?」
「え?あ、ああ…そっか、そう言えば今日だっけ…うん、それで誕生日と今のこの態勢と何が関係あるの?」
「だから、プレゼント。」
瞬間とんでもなく嫌な予感しかしかしなくなって私はシュウ君の下でじたばたと大暴れしてしまう。
するとシュウ君はすごーく不機嫌な顔になっちゃって「なんで暴れるの」って言うけど暴れない方がおかしいでしょ!馬鹿!!
「だ、だから!“プレゼントはこの私っ!きゃ☆”とかは彼女がする事であってだねシュウ君!!!ねぇ相変わらずシュウ君は彼女なのかな!?うわあああ食べられる!!!」
「ああもう、うるさい。」
ぎゃんぎゃん喚き散らせば塞がれる唇。
それは深くはなくて、ちゅっと可愛らしい音が響いて逆に恥ずかしい。
「シュウ、くん。」
「ねぇ花子…俺、平野のデートの時言ったよな。人間の花子を頂戴…って」
「あ、」
ゆっくり頬を慈しむ様に撫でられてそんな台詞。
もしかしてシュウ君が私お誕生日にあげたいものって…
「ねぇシュウ君…シュウ君は私にヴァンパイアとしての未来をくれるのかなぁ?」
そっと手を伸ばせば自ら擦り寄ってきちゃうシュウ君はおっきな猫みたい。
けれどホントに心地よさそうなので私もシュウ君がしてくれたように優しく撫でてあげる。
次第に嬉しそうに細められていたその瞳はゆっくりと、けれどこちらをしっかりと、まっすぐ捕えてくる。
ああ、もう逃げられない。
…もともと逃げる気なんてないけれど。
「花子に俺と同じ永遠をあげる。…結局俺が花子をもらっちゃう形になるけど…今はそれ以上のプレゼントは思いつかない。…ごめん。」
「ううん、嬉しいよ。だから謝らないで?」
「うん、花子………あいしてる」
申し訳なさそうにそう言っちゃうシュウ君に安心させるように微笑んであげると
その表情は穏やかなものへとかわってくれるから、ぐっと胸が痛くなる。
嗚呼、シュウ君をこんな顔に出来るはきっと私だけなんだろうなぁ…
そっと手を取られてそのまま指を絡められる。
ぐっと入った力は私を離したくないと言っているようでむずむずと庇護欲が刺激されてしまう。
ホントに守ってもらってるのは私の方なんだけど…
「シュウ君、可愛い…かわいい。」
「ったく、俺に可愛いなんて言うのは花子だけだよ………ん、」
優しく首筋に唇を落とされてそのままペロリと舐められる。
嗚呼、これからまた吸血鬼に近付くのかと思うと恐怖より喜びしか感じられない。
だってそれはシュウ君をずっとずっとずーっと甘やかしてあげれるって事なんだもの。
「花子…目、瞑って…俺の牙だけ、感じて?」
「ん…シュウ、く」
気遣うように入って来た牙…
どこまでも優しい吸血に私は嬉しくて涙を零し…そして、
そして…
「いいいいいいいいっっっったぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!?」
自分がとんでもなく吸血を痛がった事しかないのをすっかり忘れていて
不意打ちの激痛に城中に響き渡るレベルで絶叫してしまったのである。
「しゅ、シュウくーん…ごめ、ごめんってば…仕方ないじゃん痛いんだもん。」
「…………やだ。暫く許さない。」
それから一週間、めちゃくちゃ拗ねちゃったシュウ君が私のベッドから出てきてくれなかった。
拗ね方さえ可愛すぎる私の彼氏にもはや苦笑しか出てこない。
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