庶民的誕生日
にぎやかな城外
華やかなパレード…
これらすべてが私の誕生日を祝うものだと誰が信じるだろうか。
「どうだろう花子…私も結構頑張ってみたのだけれど…」
「…明らかにやり過ぎですよねどこの国の女王の生誕祭ですかコレかれこれ三日は続いてますよカーニバル!!」
お城の窓越しにドンびきと言った感じで景色を眺めていたら
背後からそわそわしちゃう声が響いたので勢いよく振り向いて叫べはしょんぼりしちゃった残念なおじさま…
もとい恐ろしくて冷徹なヴァンパイア王。
「もうこれだから王様は…しかたないです、庶民のパーティを直々に教えて差し上げます。」
「おお!庶民パーティー!!是非ともご教授願いたいよ花子!!」
………やっぱり食いついた。
魔界では勿論王様で、人間界でも政界のトップを担っており、時々保健室の先生だけれど
やっぱりガチモンの庶民とは無縁のようで、カールハインツ様は私の庶民感覚がとても魅力的なご様子だ。
「さて、まずはおりがみです。」
「おりがみ…?」
「そうですよー。こうやって筒状にして繋げて…あとはお花とかも作ってですね…」
「おお…只の色紙が沢山の形に…花子の手は魔法のようだね!!」
スーパー庶民パーティの為に次々と飾り付けを製作していけば
カールハインツ様はキラキラと瞳を輝かせてじっと私の手元を見つめ続ける。
……あの、そんなにみられるとやっぱり恥ずかしいです。
「次!!飲みものに高価なものは邪道!!着色料と香料まみれの体に悪いジュースを用意!!!」
「果汁100%でもない!!!すごいねっ!」
どーんっと目の前にコンビニで売ってるようなジュースを差し出してあげるとそれだけでも感嘆の声をあげる王様に更に追い打ちをかける。
これだけだと思ってくれるな王様!!!本番はこれからですよ!!
「そしてメインのケーキは高級ホテルのシェフお手製とかではなく機械で大量生産されたちょっぴり小さめの悲しい苺ショートケーキで決まりだぁ!!」
「メインなのにショートケーキ!!す、すごい…庶民とはいつだって自身を戒める事に余念がないのだね…!」
カツーンとスーパーのタイムセールで置かれてた二つのショートケーキを
小さなテーブルに置いてあげると遂に感心しきった王様は「流石庶民…奥が深い」と唸りだした。
そんな彼をほっておいて一本ずつ小さな蝋燭をさして部屋の照明を消す。
「ホラ、こっちの方が私とカールハインツ様二人きりだけのひみつのパーティみたいで素敵じゃないですか?」
「……ああ、そうだね。なんだか、狭くて暗くて…ふふっ秘め事をしているみたいだ。」
でかでかとしたカーニバルもパーティもいいけれど
こうやって二人だけでささやかな誕生日の方が私には性にあっている。
それをどうやら目の前の王様も理解してくれたようで…
「じゃぁこんな素敵な庶民誕生会を教えてくれた花子に私もはりきって庶民らしい事をしようかな?」
「え?」
「これは息子たちにはナイショだよ?」
くたりと首を傾げて人差し指を口元へ向けた彼は蝋燭の炎に揺らめいてとても幻想的。
そしてスッととりだした凶器に私の表情は一変する。
「まってまってマジまって王様それは無理ですなんですかそのでかすぎるクラッカー…2mはありますよね勘弁してください何が庶民だふざけるな」
「おや、庶民はこれを鳴らしてお祝いすると聞いたよ?せーのっ」
「だから大きさがもはやキングクラスだっつってんで、」
スパァァァァァアン!!!!!!!!!!!!!!!!!!
私の静止の声なんか聴く耳持たない王様は
初めての庶民アイテムの紐を一気に引き抜いて城というか城下町まで爆音が鳴り響いてしまい
カールハインツ様に謀反が!!!なんてとんでもない騒ぎになってしまったのは言うまでもない。
「…何で私まで。」
「ご、ごめんね花子。でも誕生日パーティ楽しかったよ?」
数時間後、私達は王の間まで彼の二番目の息子に連行されて盛大に説教を受けてしまった。
うぅぅ…正座、痛い。
でもまぁ…カールハインツ様すっごく嬉しそうだし、まぁいっか。
「父上!花子さん!!何をヘラヘラ笑っているのですか!!まだ説教が足りないのですか!!!」
「うわんレイジさんごめんなさい!!もうお説教やだ!!!」
「そうだよレイジ。私も足がしびれてしまったよ。」
ぶーぶーと文句しか言わない私と王様に次男が血管切らせながら
マジギレしちゃって逆巻家の伝説になってしまったのはまた別の話。
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