天使の皮を被った小悪魔


「………おい、これはどういう事だ。」



「え、…花子が、おかいもの…したいって…だから…」



「俺はこの状況がどういう事だっつってんだよ!!!」



だんっと力いっぱい地面を踏みつければアズサはくたりと首を傾げて
花子はびくりと体を震わせて目に涙を浮かべてしまう。
あ、やべぇ…やっちまった。



現在俺の両手には大量のショップバックやら箱やらもう盛大な荷物の山。
肝心の花子の手はアズサとぎゅっと握られてしまっている。
…違う、その場所は俺のもんだっつーの。

とりあえず俺の態度にすっかり怯えきってしまった花子を宥めるのが先決だと思って
チラリと彼女を見て謝罪。



「…べつにおこってねーし」



「スバルさん…それ、は…謝ってるとは、いえない」



「るせぇ!!もとはと言えばお前が花子の手を…!あ、」



「?私の手をアズサ君が?スバル君?」



やっべぇ…!言っちまった…!
どうすんだよ俺…花子は俺の言いかけた言葉を気にして首を傾げてしまっているが
言えない…言えるわけがない。



「俺だって花子と手繋ぎたいのになんでアズサばっかりなんだよ!」



だなんて言えるわけがない!!!



ダラダラと大量の汗をかきながら固まっていれば
アズサがじっとこちらを見つめてきて、ぱぁっと顔を笑顔にしていそいそと先程まで花子の手を握っていた自信の手を離して
俺の片手分の荷物をひょいっと持ち出した。


そしてそのまま先程までとは反対側に移動して再び花子の手を握る。


今俺、花子、アズサ、と言った並び順だ。



突然の事にどうしたらいいのか分からなかった俺と花子は二人で首を傾げてアズサを見る。
するとアズサはとっても嬉しそうに微笑んでゆったりと言葉を紡ぐ。



「これで、二人で花子の手…ぎゅって、できるよ…?スバルさんも、花子と…ぎゅって…したかった、んだよ、ね…」



「な…、は、はぁぁぁぁ!?」



コイツの爆弾発言に盛大に顔を赤くしながらデケェ声をあげる。
そうだけど…その通りだけども!!
だからって本人を前にそんな事言うか!?普通!!!


動揺を隠しきれないでいると不意に片方の手に温もり。
驚いて勢いよく見てみれば俺の大きな手を一生懸命掴んでいる小さくて暖かい手。



「えへへ、スバル君…手、おっきいね」



「………………お、おう」



素直に嬉しそうに微笑む花子にもう照れるとかそんなんどうでもよくなってしまって
俺もお返しにぎゅっと繋がれた手を握り返すと彼女はまた嬉しそうに微笑んだ。
そんな花子の笑顔につられて俺も自然と笑顔になってしまう。



「…アズサ、」



「なぁに?…スバルさん」



「ありがとな、」




結局はきっかけを与えてくれたアズサにもちょっとこっぱずかしかったけれど一言だけ礼を言う。
するとアズサはニッコリと微笑んで核爆弾を投下しやがる。



「ごめんねスバルさん…俺、ほんとは最初から知ってた…けど、ちょっと花子を独り占めしたくて、いじわる…しちゃった」



「な、な、なんだとぉ!?」



どうやらこいつは初めから俺が花子と手を繋ぎたいのを承知の上で
今まで荷物を全部持たせた挙句自分だけ花子と手を繋いでいたらしい。
何という…何と言う策士だ無神アズサ!!!!



「上等だ、もう俺はこれから照れたりとかしねぇからな。…吹っ切れた俺に勝てると思うなよ?」



「ふふ…へいき、俺…こう見えても、案外強引なんだ…」



挑発的に睨みつければどうしてだか嬉しそうに微笑みながらそんな台詞。
チクショウ…こんなにつかみどころのねぇ奴と花子を取りあうとか不利過ぎてなんともまぁ…
けどまぁ…



「よーし!アズサ、どっちが花子を落とせっか勝負な」



「うん…俺、まけないよ」



なんかこういう、恋のライバルっつーの悪くねぇかも知んねぇ。
けど取りあえずその前に。



「え………、私スバル君かアズサ君に突き落とされちゃうの…?」



「「……………ぶはっ」」



このスーパード天然お姫様に恋を自覚させてやるところから始めねぇと駄目っぽいらしい。



戻る


ALICE+