仲直り〜ライト君の場合〜


「花子ちゃんなんて大っ嫌い!」


僕の大きな声は部屋中に響き渡った。


確かに今まで僕は【愛】って言うのを正直はき違えてたと思う。
全ては楽しければ良かったし、気持ちよければ尚よしだった。
だからその考え通りに生きてきた。
けれどそれを今回初めて後悔したんだ。


「あのね、花子ちゃん。僕、花子ちゃんの事大好き。」


彼女に出会って初めて無いはずの心ってやつがあったくなって
存在しないはずの心臓が苦しくなる気がして
僕はそれが恋なんだなって気付いた。

だからこの気持ちをそのまま彼女に告げた。
けれど花子ちゃんから返って来た言葉はあまりにも残酷で、


「ライト君、そういうの何人の女の子に言ってるの?」


酷く傷ついた気がした。
胸をナイフで切り裂かれたような痛み。
なのにどうして、どして花子ちゃんの方が傷付いたような顔してるの?


「大嫌い、大嫌いだ…花子ちゃんなんて」


僕のこの気持ちを受け止めてくれない君なんて
キミも、キミの瞳に映っている僕も、とても酷い顔だ。
お互いボロボロと涙を流している。


「きらい、きらいだよ…花子ちゃんなんて…!」


気が付けば彼女を逃がさないように抱き締めていて、そんな自分の行動に動揺しながらも溢れる君への言葉は止まらない。


「花子ちゃんなんて…好き、大好き…だいすきだよ…」

「それは…ホントの【すき】?」


震える声で彼女が尋ねる。
その声に僕は未だにぐずぐず泣きながら震える声で答える。


「…わかんないよ。こんな気持ち初めてだから…」


「じゃぁ、ホントの【すき】、だね。」


嬉しそうに彼女が笑う。
その笑顔を見ると僕の胸はじわりと熱くなってまたぎゅうぎゅうと彼女を抱き締める。
けれど彼女が潰れてしまわないようにあくまで優しく、優しく。


「ねぇ、花子ちゃん。ぼくの初恋につきあってくれる?」


花子ちゃんはそんな僕の言葉に今まで一番の笑顔を見せてくれた。
僕の初恋は、壮大な大喧嘩から始まった。



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