仲直り〜シュウさんの場合〜
むすっ。
私とシュウは不機嫌顔で睨み合っている。
かれこれ数時間が経つだろうかこの攻防戦。
何が原因だったとかはもう忘れてしまったがもう今は取りあえず目の前のシュウに腹が立っている。
「シュウの馬鹿。」
「花子の馬鹿。」
カチン。
私の心の中のゴングが静かに鳴った気がした。
よしそっちがその気ならもういっそいつも思ってる不満をぶちまけてやろうじゃないか!
私が普段どれだけ我慢しているか思いしれ逆巻シュウよ!
「いっつも寝てばっかなシュウが嫌い。」
「いっつも膝枕してくれる花子が好き。」
…ん?
今なんつったコイツ。
いやいや私の聞き間違いだろう。
「だ、だるいねむいばっかり言うシュウが嫌い。」
「好き、愛してるばっかり言う花子が好き。」
き、聞こえない…
聞こえないからな!断じて!断じてだ!
「じゅ、授業さぼっちゃうシュウが嫌い。」
「そんな俺を必死に追いかけてくる可愛い花子が好き。」
くっそなんだその顔。
ニヤニヤしやがって…!
なにがおかしい…さっきから真っ赤になっている私の顔か!?
「しゅ、シュウなんか…シュウなんか嫌い!」
「花子なんかだいすき。」
気が付けばいつの間にか彼の腕の中だ。
くそう、くそう!完璧に負けた気分なのはもはや気のせいじゃない。
悔しい!悔し過ぎる!
「シュウなんか…!」
「んー?」
気持ちよさそうに頬擦りしてくんなイケメン長男。
全てはお前の掌の上ってかもうもう!
観念して私は素直な言葉を口にする。
「シュウなんかだいすき。」
「はは、じゃぁ仲直りだな。」
私の言葉に満足したのか彼は嬉しそうに微笑んでそのまま私にキスをした。
もうコイツには絶対勝てない気がする。
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