仲直り〜コウ君の場合〜


「もー!コウ君ってばエム猫ちゃんばっかり!むかつく!」


「しかたないよねぇ。俺ってば超人気者だからぁ☆」


ぷんすこ可愛く怒っちゃう俺の愛しい愛しい花子ちゃん。
あーもう!その嫉妬に濡れる瞳最高に可愛いよ。
彼女のこういう顔が見たくて俺はわざとに周りに女の子をはべらせている。

けれど今日はいつもと様子が少し違ったみたい。
いつもの様にぶるぶるとその可愛い瞳に涙をためてこちらを睨みつけているまではよかった。
…そこまでは良かったんだけど。次の彼女の台詞が問題だった。


「もういいもん、私も男の子に囲まれてくる。」


「………え?」


…今、なんて言った?
俺の空耳かなぁ?けどそんな考えよりも先に俺の体は冷や汗でダラダラだ。
考えと体がついて行かない。


「アヤト君は私の胸気にいってるし、カナト君は着せ替え人形にしたいって言ってくれたし、ライト君はイケナイ遊びしようって言ってたし
レイジさんはお茶飲み友達が欲しいって言ってたし、シュウさんは私を抱いてずっと寝てたいって言ってくれたし、スバル君はたまに棺桶の中に入れてくれるし」


…ちょっとまてちょっとまてちょっとまて。
何さらっと言ってんの花子ちゃん。
そいつら危険じゃん!特にライト君とスバル君!
イケナイ遊びなんてさせませんよ絶対!ていうかそう言うプレイは是非ともこの俺と!
…じゃない!
そして人の彼女勝手に密室に連れ込んでるんじゃないよスバル君!


言いたいことは沢山ある。
沢山あるけれど、今にも溜め込んだ涙が零れ出しそうな花子ちゃんは全然迫力のない、寧ろそそる表情で俺を睨みつけるとくるりと方向転換。
あ、まってやだやだ行かないで!


「コウ君なんてもう知らないもん!」


「ま、まって花子ちゃん!」


思わず大きな声で叫んで彼女の腕を掴む。
その衝撃で遂に花子ちゃんの瞳からポロリと涙が零れてしまった。


「う…、ぅ…だってコウ君…いじわる…」


「ご、ごめんってば…やきもち妬いてくれる花子ちゃんが可愛くてさぁ…」


「わ、私がどれだけコウ君の事大好きでいつもいつも辛いかわかんないくせにー!」


堰を切ったかのように大声で泣きわめく花子ちゃんが申し訳ないけれど本当に本当に可愛くて
もう我慢しきれなくなってそのままちゅっと唇にキスしてしまった。
あ、間違った。こういう時がぎゅって抱き締めてあげた方が効果的だったっけ。


「もーもーもー!やだー!コウ君の馬鹿ぁぁぁ!だいすきなんだからー!わぁぁん!」


「ああもうごめんね花子ちゃーんもうしないから許してー!」


大慌てで抱き締めて優しく背中を撫でであげるけど時はすでに遅し。
もう俺の服は彼女の涙でびっしょりだ。

まぁでも今回はちょっとやりすぎちゃった俺が悪いから仕方なくこのまま泣かれてあげようっと。



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