愛しの女王様


「ふぅん、アンタ俺の事好きなんだ。」


「…っ、」


さほど興味なさげに呟いた目の前の彼に私はもう泣いてしまいそうだ。
何処からそんな情報を仕入れてしまったのかは知らないけれど、私は本当に彼が、シュウさんが好き。
けれどその気持ちを彼に打ち明けるなんてそんな大それたことをする気はなかったのに…


ぎゅっと制服のスカートを握りしめてじわりと涙を溜めてると小さく彼が笑って、怖くてビクリと身体を揺らしてしまう。


「花子…?」


優しく名前を呼ばれて、恐る恐る顔を上げると綺麗な顔が微笑んでいて
見惚れていたら不意に、強く体を押されてしまいその場に倒れ込んでしまった。


一瞬何が起こったのか分からなかったがその間にシュウさんは目の前の椅子に浅く腰かけて私を見降ろす。


「シュ、…さ…」


「ホラ…」


ぶらぶらと長い足を揺らしながらコツンと私の頬に革靴を履いたまま何度か当ててくる。
私は未だに地面に這いつくばったままどうすればいいのか分からず瞳を揺らす。
するとシュウさんは更にその微笑みを深くして甘い声で囁いた。


「舐めさせてやるよ、俺の足。」


「…っ、」


その言葉に驚いてしまって固まっていると今度は少し強く彼の足が頬を叩く。


「何してんの?好きなんでしょ、俺の事。嬉しいよなぁ…足舐めさせてもらえてさぁ」


「ぅ…は、い…」


彼の有無を言わせない言葉に、もう私は従うしかなくて
恐る恐る革靴を脱がせて、そのまま震えながら彼の綺麗な足に舌を這わせた。


「ん…」


ピチャリと、卑猥な音が教室に響く。
こんな酷い事をさせられているのにどうしてか心臓の音は早くて煩い。


「咥えて」


「んん…んぅ」


彼の言葉通りめいいっぱい口を開けて足の指を咥え込む。
けれどお気に召さなかったのかシュウさんはピクリと眉を動かしてグッとその足を口の奥へと押し込んできた。


「んぐ…っ!」


「違う、そうじゃない。もっと舌絡ませて、唾液も忘れるな。それとも抜いて欲しい?コレ。」


ぐいぐいと更に足を押し込んで来られて苦しくて思わず涙を零してしまうけれど
私は必死に首を横に振る。


「なら、ちゃんとシて…ほら、」


「ん、ん、んぅ…」


また優しい口調でそう囁かれて、もう私は夢中で彼の足に舌を絡める。
彼に言われた通り、指の間も丹念に舌を這わせて、唾液も絡める。
ぽたりと口から零れ落ちたそれを見たシュウさんは満足げに笑ってくれた。


「ん、イイコ…可愛いな、花子」


「ぁ…」


不意にずるりと足が引き抜かれて、思わず淋しげな声をあげてしまうと
シュウさんはまたにっこり笑った。


「好きな男に這い蹲らされて、足舐めさせれて喜んじゃった…?は…っ、ヘンタイだなぁ。」


そんな罵声と共にグッと、先程まで舐めていた足が私の頭を踏みつける。
地面にめり込んでしまうんじゃないかと思うくらい強く踏みつけられて声をあげてしまう。
けれどシュウさんは足をどけてくれることはなく、只々愉快に言葉を続ける。


「俺がわざわざアンタの為に足を差し出してやったんだ。光栄だよな…ふふ、その声は嬉しさのあまり出ちゃったのかぁ?あはっ」


声をあげてケラケラと笑うシュウさんの声が響き渡って
暫く経てば彼はようやく頭から足を離してくれた。


「なぁ花子…」


「は、い…」


ああ、まただ。
また優しい声で私の名前を呼ぶ。
そしてその綺麗な顔で再び微笑むのだ。


「もっと足、舐めて?上手に舐めれたら…今度は俺のコレ、舐めさせてあげる」


ぐっと足の間に顔を引き寄せられてしまい、思わず顔を赤らめると「純情ぶる女はキライ」と頬を強く殴られた。
そして今度はそのまま肩を蹴られて再び地面へと這い蹲る。


「嗚呼、かわいい…虫けらみたい」


うっとりとそう呟いたかと思うと再び目の前に足を差し出す。
そして催促するようにつんつんとまた私の頬をなぞる。


「ホラ、花子…お前のだいすきな俺の足…」


「ぁ…、」


小さく声を漏らして震えてしまう。
怖い、怖いのにどうしてか心の奥は酷く喜んでしまっている自分がいる。
そしてまたそっと白くて綺麗な足を咥え込んだ。


「ねぇ、そんなにオイシイの?」


ニヤニヤと見下すシュウさんの問いに一度その口を離して
歪んだ笑顔で答える。


「はい…とっても、おいしいです。」


私の答えにシュウさんはとても嬉しそうに笑ってくれた。


「ねぇ花子、これから俺が全部教えてあげる…俺好みの舌遣いも、指使いも、喘ぎ声も…全部全部。」


その言葉に私は歓喜でぶるりと身体を震わせた。
ああ、これから私は愛おしいこの人に造り替えられるのだ。
なんて幸せな事なんだろうか。


「どうしようもなく俺を愛する花子がすきだよ。」


彼の愛のない告白でさえも今の私には極上のご褒美で
喜びと幸せで躰の奥がじわりと濡れたのがわかった。



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