永遠に醒めない呪いを
ふわふわ、ふわふわ
私は彼のキスが大好き。
「おい…おい花子…」
「んー…ふふ、シュウ…」
へにゃりと笑えば私を抱き締めているシュウは大きくため息。
そしてこつんと私の額を小突く。
「寝るな、馬鹿。」
「だってシュウのキス、きもちいいんだも。」
うつらうつらと重い瞼を一生懸命にあけながら
彼の首に抱き付けば困ったように微笑むシュウ。
そしてもう何度目か分からない私の大好きなキスをまた唇に落とす。
シュウのキスがすき。
唇に触れた瞬間にじわりと胸があったくなってふわふわした感覚が全身を包み込む。
きっとこういうのがしあわせって感覚なんだと思う。
そしていつも私はその素敵な感覚に溺れたまま瞳を閉じてしまうのだ。
「全く、花子が眠り姫なら絶対目醒まさないな。」
「あのお話がおかしいのよ…」
王子のキスで目が醒めるってなぁに?
本当に姫様を幸せにする王子様なら目が醒めるようなキスなんてしないでしょ?
だってしあわせっていうのは溺れて微睡んで温い感覚に包み込まれるような事を言うのだもの。
「王子様はお姫様が一生目覚めないキスをすべきだわ。」
「それじゃぁ呪いじゃないか。」
小さく笑う彼につられて私も笑う。
そして彼の手を徐に取って、何度も唇を落とせばクスクスとシュウは笑う。
「何、俺に呪いかけてんの?」
「んー…シュウってお姫様だっけ?」
「いや、どちらかといえば…」
ぐいっと先程までキスをしていた手を引いて彼の方向に傾いた私の体をもっとと言わんばかりに引き寄せてまた優しいキス。ああ、このキスが私を微睡へと誘うのだ。
「お姫様を食らう怪物じゃない?」
「ふふ、物語違うし…嗚呼、でも」
ふわふわ、ふわふわ。
冷たいくせにどこか温かいと錯覚してしまう彼の体に包まれてゆるゆると瞳を閉じて笑う。
「シュウみたいな怪物なら喜んでこの身体を差し出すわ。」
「花子、身体だけじゃ足りない。」
額、瞼、頬、そして唇。
次々と私の大好きな彼の唇が降ってくる。
ああ、すき、しあわせ、すき。
うっとりとしていると、ぎゅっと手を握られて
ゆっくり瞳を開けばしかいっぱいに広がる貴方の愛おしい笑顔。
「お前の心も残らず俺に全部ちょうだい?」
そんなの、言われなくとも。
私はふわふわと彼のキスの様に柔らかく笑って自分からその唇にキスをした。
身体だって、心だって全部全部貴方にあげる。
だから見返りとし永遠に醒めない“しあわせ”の呪いを私にかけて。
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