社畜度100%
「嗚呼、正月休みも今日で終わりね。」
そんな事を呟きながら明日に備えて荷物を整える。
今はもう明日の事で頭がいっぱいだ。
溜まっているメールやら、新年恒例のあいさつ回りなどやることは山ほどある。
そしてふと視界の端に捕えたのは私の愛しい愛しいひと。
「あら、レイジ。どうしたの?元気がないみたいだけれど」
「ぇ…いいえ、特には」
無理をして笑っていても私にはわかるのよ。
小さくため息をついて、出社の準備を一旦保留にして彼に歩み寄り優しく頭を撫でる。
「嘘はよくないわ、言ってごらんなさい。」
「やはり、貴女にはかないませんね。」
困ったように微笑み、そっと私に触れるだけのキス。
どうしたのいうのだろうか。
こんな事、はしたないと、普段の彼ならばしてこないというのに。
動揺に瞳を揺らしていると整った眉をハの字に下げて彼は言う。
「明日からまた貴女と…花子と離れるのだと思うと淋しくて」
嗚呼、そうだ。
普段大人びていて、私の世話ばかり焼いてくるものだから忘れがちだけれど
レイジだってまだまだ子供なのだ。
そして普段そんな弱みを見せない彼からの甘えたな台詞に思わず顔をほころばせてしまう。
「?どうかしましたか、花子?」
「ふふ、いいえ…レイジが愛おしいなと思っただけよ。」
思ったままを口にすれば、彼はまた困ったように微笑み、普段は見せない年相応の顔をする。
嗚呼、私はこの顔が何よりも好きだ。
「私の方が何倍も貴女を愛していると思います。」
だから、明日は早く帰ってきてくださいね?
そんな事を言われてしまえば普段デキる女として評判の私の腕の見せどころではないか。
レイジの言葉に不敵に笑い、再び明日の準備を始める。
「可愛らしい貴方の為に明日は定時で上がってきてあげるわよ。」
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