社畜度50%
「あー…じゃぁ行ってくるね」
「ん」
私は今玄関前。
シュウ君は相変わらず無表情なまま私を送り出す。
そんな彼に少しだけ苦笑。
てっきり、行かないでくれとか我儘を言われるのかと思っていたから正直この状況は拍子抜けなのである。
彼はいつだって自分のしたい事をしてきたから
正月休みだってとことんなまでに彼に振り回された。
「花子…」
「んー?」
「早く行って。」
「え」
まさかの彼の言葉に思わず硬直してしまう。
ど、どうしてそんな事言うの?
私何かシュウ君の気に障るようなことをしちゃったんだろうか。
「早く、」
「え、わっ、ちょ…!シュウ君!」
ぐいぐいと私を家から押し出すように背中を押す彼に困惑を隠しきれない。
もしかして休みの間ずっと私といて飽きちゃったとか?そんなそんな!
私はシュウ君なしじゃもう生きていけないって言うのに!
必死に抵抗してようやく振り向くことが出来て彼の顔を見ると怒っているとはどこか違う、どちらかといえば拗ねているような不機嫌な彼がいて…
そんな彼にオロオロしているとシュウ君はふいっと顔を背けて小さくボソリ
「早く行ってくれないと…俺、花子を閉じ込めそう」
「は?」
「花子は、仕事行きたいんだろ?だから俺…今すごく我慢してる」
そんな可愛らし過ぎる台詞に
私のハートはぐしゃっと鷲掴みにされたわけで…
「あああああ〜」
「は?ちょ、おい花子…へたり込んでないで会社…」
「うん、うん…ご、五分だけ待って」
シュウ君への愛しさパラメーターが振り切れてしまった私は今再起不能だ。
大丈夫、五分の間に持ち直します。
だから、それまでの間貴方の可愛さに悶絶させてください。
(シュウ君可愛い…!)
(…はぁ?)
(あ、うそうそゴメン待って待って格好いい、格好良いから玄関プレイとかちょっと…!)
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