社畜度0%


「おい花子いつまでこうしているつもりだ。」


「やだ私を離さないでルキ君」


「いいから早く会社へ行け!」


「いやだぁぁぁ!」



彼の怒鳴り声が響き渡るそんなAM6:00
私は未だに彼の腰に抱き付いて離れないでいる。
格好は彼に無理矢理着せられたスーツで、髪も彼お手製のビジネスシーンぴったりのものだ。
けれど私は離れない。離れないのである。



「あれだけ…あれだけ正月休みルキ君を堪能させておいて今更外の世界へ行けと!?鬼!吸血鬼!」


「何だその卑猥な言い回しは!あと俺は花子の言う通り吸血鬼だ!」


「そうだね!どちらかというとルキ君が私を堪能した!みたいな!?」


「人の話を聞いていたのか貴様!」



ゴチン!と、盛大な音と鈍い痛みに私は涙目だ。
くっそ、彼女の頭を思いっきり殴るだなんてどのこDV男だよ!
お休みのときはあんなに…あーんなに優しかったのに何この鬼の所業!酷い!
私の心を弄びやがってこのドS吸血鬼が!


「やだもう私ずっとルキ君の家畜でいたいのー。」


「煩い黙れ働け社畜。」


「家畜ですらなくなった!」


ルキ君の冷たい態度についにわんわんと泣きだしてしまった私に彼は盛大な溜息を吐いて優しくキスを振らせてきた。
途端に泣き止んでしまう私はなんともゲンキンで…


「花子…イイコで会社に行ったら褒美をくれてやるぞ?」


「え、え、ご褒美…?」


優しく微笑まれて反射的に顔を赤くしながらも褒美の内容が気になる私は前のめりで彼に問う。
するともう一度と、今度は深くて熱いキスが私の唇を奪いそっと、しなやかな指で私の頬をなぞる。


「ぁ…ルキ、く…」


「俺の言う通りに会社へ行き、いい働きをすれば…この続きをしてやろう」


「え、マジで?」


人間という生き物は非常に欲望に忠実な生き物なのである。
だから私が今いそいそと靴を履いて飛んでいきそうな勢いで出社の準備をしていたって別に変じゃない。



「花子…貴様は本当に欲望に忠実いうかなんというか…」


呆れかえってしまったルキ君が憐みの瞳で私を見ていたけれどそんなの気にしていられない。
だってお仕事いい感じにこなせばルキ君と…!
にやける顔を抑えることはなく、そのまま勢いに任せて彼の頬に行ってきますのキス。
ホント、帰ったら覚悟しておいてよね!


「欲に忠実なのも全部全部ルキ君を愛しているからよ!」



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