毒されピーポー


あれからどれくらいの日が過ぎただろう
私は魔界で最高に可愛い甘えん坊のシュウ君とまったりとした時間を過ごしていたのだけれど
コンコンと言うノックと共に現れた突然の懐かしい顔の訪問に思わず笑みを零して大歓迎。





嗚呼、今日は久しぶりにお茶会を開いてしまおう。
今はお城だからこたつはないけれど、もう少しおしゃれなお茶会を。





「えへへっ、こうして花子ちゃんとお茶会って久々ー♪」




「そう……だね、アリスとはこたつでお茶会…以来……ふふっ」




「や、う、うん……私庶民だからああいうお茶会スタイルが普通だったんだよアズサ君ごめんねマジで庶民で」




懐かしい顔の彼らが穏やかな表情でこうしてお茶会を楽しんでくれるからこちらもふにゃりと表情が緩むけれど
その一人、アズサ君の言葉にすぐさま苦笑を漏らしてしまう。
あの時は気にも留めなかったけれど、そうなんだよね……今日来てくれた二人
コウ君もアズサ君も聞く話によるとカールハインツさんにすごくお世話になっていて屋敷だって
逆巻さんに負けないくらい大きな所を提供されてるらしいから
きっと私の狭い部屋でコタツを囲んでお茶会ってある意味貴重な体験だったのかもしれない。



「嗚呼、大丈夫だよ花子ちゃん。俺達、シュウ君たちとはちょーっと違うから」



「?」




「アリス……俺は、コタツでお茶会……楽しかったよ?」




もしかしたら彼等もずーっと裕福な暮らしをしていたのだとしたらあのお茶会は失礼だったのかもしれないと
胸の奥で思っていれば、どうしてかそれを汲み取ったかのようにコウ君がニッコリ笑顔でフォローしてくれて
アズサ君もそういう意味で先ほどの言葉を紡いだのではないと優しく諭してくれてちょっぴり胸が熱くなる。



ううん、シュウ君の弟君達もすごくかわいいけれど
無神家の人たちはなんだろ……こう、あたたかくなるから
また違った意味で好きだなぁと、思ってしまうんだ。



そんな事をしみじみと考えていれば下からひょっこり紫髪君と
後ろからスマートに白手袋君が紅茶とお菓子のおかわりを持ってきて登場しちゃってまた苦笑。




「僕だってこたつのお茶会楽しかったですよというかアズサ、コウ、ねぇさまを独り占めしてどういう了見です…嗚呼、ねぇさま、コレ…可愛いお菓子見つけたんですよ?」




「ほう?炬燵でお茶会とはまた和洋バラバラですが姉う………花子さんはそういう事には疎かったのでしょうか、こちらアールグレイをどうぞ」




「え、カナト君あのお茶会楽しかった?嬉しいなぁ…あとレイジ君はそろそろ皆の前でもおねえちゃんって呼んでよね」






どうやらどこからか、私が遊びに来てくれたコウ君とアズサ君と
こっそりお茶会楽しんでいるのを聞きつけた二人が駆けつけちゃったようで
その場が更に賑やかになったけれどこうして紅茶とお菓子を差し入れてくれる辺り
カナト君もレイジ君も随分懐いてくれたんだなぁと思うとこれはこれでちょっぴり涙が出てきちゃいそうだ




「んん、もうもうみんな大好き。逆巻も無神もとーってもいい子だね」





三人から五人になって、紅茶もお菓子ももっともっと沢山テーブルに溢れて
なんだか本当にアズサ君が私をそう呼ぶようにアリスのティーパーティのようでとても楽しい。
逆巻さんも無神さんもそれぞれ違った魅力があって、それでいて逆巻家にはこうして自身も仲間入りというか
義姉として受け入れてもらって、無神さんにもちゃんと見守って貰ってる
嗚呼、なんて自分は恵まれているんだろうと思わず笑みを零せば四人の視線がどうしてか私の背後へと向けられて
同時にながーい溜息をひとつ




「…………ねぇさまがこうして僕らと楽しんでるだけでアレですよ。どうにかならないんですか?」




「いやぁ、流石にここまで来るともう花子ちゃん愛されてるねーっていうより呆れちゃうよね…レイジ君あれでいいの?」




「コウの言う通りです…只紅茶を楽しんで会話をしているだけだというのにこの始末……全く、大人げないにもほどがあります。」




「ふふ、仕方ない……よ……だって、アリスは彼のもの………なんだから」




カナト君、コウ君、レイジ君、アズサ君が
各々言葉を紡ぐ度に私の背中には嫌な汗が伝い落ちる
あ、やばい、そういえばコウ君達の突然の訪問ではしゃぎ過ぎてベッドで眠ってた彼に何も伝えずに抜け出してきちゃったんだっけ。





カタカタと小刻みに震えながら目の前の四人に視線で「おい嘘だろ?」と訴えかけても
四者ともふるふると首を横に振るばかり…
拗ねないわけがない……あの可愛い可愛い甘えん坊の彼が寝てる間にこっそりこうして抜け出して
他の兄弟や無神さんと仲良くしてるこの状況を見ちゃえば拗ねない訳がないのだ。





ギギギと恐る恐る彼らが見つめる自身の背後へと覚悟を決めて首を回せば
やはりいた甘えん坊な私の最愛……
ねぇねぇ、ほっぺが少しばかりリスさんみたいになってるけどどうしたの?





「シュウ君、ごめんね」




「花子の浮気者」




「酷いよ、ちょっと皆とお茶会してただけじゃない」




じっとこちらを酷く不機嫌に見つめる彼に謝罪をしても
一向にそのご機嫌は治らず私は苦笑で他の皆は呆れ顔
嗚呼、次期逆巻の当主にこんなに可愛い所があるって
他の皆が知ったらどうなっちゃうんだろう…




小さく苦笑し続けてそっと私を不機嫌に見つめる彼に手を差し伸ばせば
少しだけ緩んだその表情を私は身逃がさない。





「シュウ君、ごめんね?拗ねないで?一緒にお茶会…しよ?」




その言葉を紡いだ瞬間、手を取られるどころか
体ごとぎゅうぎゅうと抱き締められてしまったのは言うまでもない。




嗚呼、今日もシュウ君は甘えん坊で
私を大好きでいてくれる。





「ううん、平和だなぁ」




「花子ちゃん、その体勢でよく平和って言えるね」




「ねぇさまはシュウの甘えに慣れ切ってますからね」




「…………穀潰し、無神の前です自重なさい」




「アリスとシュウさん………かわいい、ね」




ぽつりと漏らしたその言葉に今度は四人が苦笑する番のようだが私はよくわからない。
只一つの椅子にシュウ君が座ってその膝の上に私が座っているだけじゃないか…
こんなのいつもの………って、あれ?






よくよく考えれば彼と出会う前までは
こんな格好ありえないと思っていたことを思い出してもう何度目かわからない苦笑をひとつ




嗚呼、どうやら私も
相当この最高な甘えん坊に毒されてしまっているようだ。



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