24:愛の行方
「…何だコレ。」
目を覚まして第一声はそれだった。
見慣れない天井に大きすぎるふかふかベッド、そして可愛らしいベビードール姿の私
…罰ゲーム?
起き上がろうとしたのだが体が全然言う事を聞いてくれない。
せめてとゆっくり首を左右に動かしてみると見覚えのあるふわふわ頭様。
………ん?
「おはよう。久しぶり。」
「ええと?」
どう考えても今の状況が理解できない。
出来る人いたらその人は天才だと思う。
状況が全然呑み込めていない私に相変わらず優しく微笑んで動かない体をそっと起こしてくれる。
「アンタが目を覚ましたのは一週間ぶり…ここは親父の城、傷を治したのもアイツ…他に質問は?」
「ルキさんは?」
「はぁ…アイツに何されたかわかってんの?…絶対に教えてやんない。」
すぐさまルキさんの行方を聞くと彼は小さくため息をついて不機嫌なお顔。嗚呼、どうやらこの様子じゃ教えてくれないらしい。
ならばと、かわりにどうしても聞きたいことがある。
「私の血の事…ご存じですか?」
「只の普通の血…ちょっとオカシイだけ。」
「どういう…」
きっとルキさんがおかしくなったのは私の血の所為だ。
吸血をしたときから彼はまるで狂人のような瞳をしていた。
けれど目の前の彼は普通の血だという。
少しおかしいというのはどういった所がだろうか…
知りたい。彼をおかしくしてしまったのはどうして?
「お前の血は、俺達の背中を少しだけ押すんだ」
「背中を?」
彼の台詞を繰り返すが意味が理解できない。
どういう事だと、無言だが瞳で彼の言葉の続きを待つ。
「怒り、憎しみ、嫉妬、独占欲、劣等感…誰だって直視したくない気持ちって言うの?そう言う感情の淵へとお前の血は俺達を突き落す。…それだけ。」
「それだけって…」
「飲み込まれるかは本人次第だから…花子は何も悪くない」
酷く、酷く顔が歪んでしまうのが分かる。
最悪だ、最低だ、そんなの…そんなの。
そう言った感情が酷く苦しい事を私は一番知っている。だってその所為で私は一度全てを諦めたのだから。
それを私は彼等に強いるのか?そんなのあんまりだろう。
「花子…」
「も…やだ…消えたい…消えたい…!」
ボロボロと涙は止まらない。
初めて私を愛してくれた人の害にしかならないだなんて
別に悲劇のヒロインを気取るつもりはないけれど
もし叶うのならば彼に、ルキさんに私を求めてほしかったと浅はかな自身の考えにも絶望する。
キライ、キライ、キライ
害しかないこの血も
浅はかな自分の思考も
みんなみんな大嫌いだ。
消えてしまえばいいのに!
嗚呼、でも…ああ、でも…!
「でも…ルキ、さ…私の事…すき、って…」
「ああ、そうだな…」
「あいしてる、…って、」
「そうだ…」
「私、が…私を嫌いでも…あいして、くれる…って…!」
「うん…」
嗚咽を零しながらも途切れ途切れに言葉を紡ぐと彼はまた優しく微笑んで冷たいその体で私を包み込む。
それをきっかけに私は彼に縋り付いて生まれて初めて大きな声をあげて泣きじゃくった。
ねぇ、ルキさん。
貴方はまだ私を愛してくれますか?
貴方にとって価値どころか害しかない私を愛してくれますか?
ねぇ、ねぇ、ねぇ
いつの間にか大きく膨れ上がってしまった私の愛はまだ有効でしょうか?
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