40:follow
「る、ルキ君さ…そんなに後悔するくらいなら花子ちゃんにお仕置きとかしなきゃいいじゃん…」
「煩い黙れ俺の気持ちなんかわかってたまるか」
ウチに帰ってきてからルキ君はずっとこれだ。
俺は大きな溜息をついてユーマ君とアズサ君と目を合わせた。
どうやらいつまで経っても自分を大事にしないどころか今回頭に大けがをしてしまった花子ちゃんへ遂にお仕置きというモノをしてしまったらしい。
ルキ君の事だから地下牢にでも縛り上げてムチで散々痛めつけたのかと思えば全然そうじゃなくて…
いつもより多めに吸血してそのまま保健室のベッドへ置いてきただけと言う…なんともまぁお仕置きですか?ソレといった内容だ。
そもそも意識が飛ぶくらい吸ったわけでもないらしいし、道端に捨てる訳でもなくちゃんとベッドにおいてきてる辺りもうホント過保護すぎてなんとも言えない。
けれど、今まで砂糖はいちゃうんじゃないの?って言うくらい花子ちゃんを大事にしてきたルキ君的にはそれはそれは一大決心だったようで…
「こうでもしなければ花子は本当に自覚しないだろ…嗚呼、けれどまさかあの後1人で泣いているのんじゃ…もしかしてこれを機に吸血にトラウマを持ってしまったらどうする…!お、俺の考えが甘かったとでもいうのか…!」
「ルキ君さ…花子ちゃんのネガティブ移ってない?」
先程まで机に突っ伏してどんより真っ黒いオーラを放っていたルキ君は突然ガバリと起き上がって盛大な独り言をぶつぶつ言い始めた。
いや、だからそんなに心配なら何でそんな事したんだよ…
呆れかえっていればゆらゆらとアズサ君がルキ君に近付いて行った。
その表情は何ともこの世の終わりのような感じだ。
「アズサ…?」
「ルキ…、ルキは、花子に…嫌われたの…?もう花子は…俺のお姉ちゃんに…なってくれないの…?」
さぁ…っ!
アズサ君のそんな言葉に一気にルキ君の顔色が真っ青になってしまう。
あ、ああ…!アズサ君!!それは!それは今のルキ君には絶対言っちゃダメな言葉だよ!!!
顔面蒼白のまま固まってしまえばユーマ君が慌ててアズサ君の口を塞ぎながら抱え上げ、引き攣った笑顔を作る。
「や、で、でもよぉ!花子も前にくらべっとすげぇ前向きになってるし…ダイジョーブだって!ちゃんとルキの言いてぇ事は伝わるって!!」
「………………部屋に戻る。」
ユーマ君の必死のフォローも虚しく、ルキ君はゆらりと立ち上がって
そのままふらふらと自室へ戻っていってしまった。
途中何度も左右の壁に激突してしまってたけれど…なんかもう見てらんない。
「…おい、コウ、アズサ。花子連れに行くぞ。このままじゃルキが死んじまう。」
「そ、そうだね!俺達のお兄ちゃんが死んじゃう!!」
「あ…でも、花子…きたみたい。」
俺とユーマ君が何かの大作戦でも決行するような心意気で話していれば
アズサ君が玄関先を見つめて嬉しそうに笑った。
…あ、ホントだ!花子ちゃんの気配!!
バタバタと三人で全力疾走して花子ちゃんを迎えれば
彼女はすごく驚いた表情で固まってしまった。
あ、そうか。花子ちゃんは今のルキくんの状態を知らないんだった。
それから花子ちゃんが初めて自分からルキ君の部屋に入っていく様を見届けて
扉の隙間から三人揃って事の成り行きを見守った。
会話は聞こえてこなかったけれど、どうやら彼女はルキくんの言いたいことを理解していたようで
ルキ君の表情もとても嬉しそうだったから俺達も互いに顔を見合わせて微笑んだ。
やっぱり花子ちゃんとルキ君はこうやって二人で一緒にてくれた方がいい。
そっちの方が俺達だってすっごく幸せな気分になるんだもの!
だから今回だけは花子ちゃんを待っていたルキ君が持っていた難しい本が
上下さかさまになっていた事もツッコまないでいてあげる!!
戻る