67:無神ユーマの独白


最初は可愛い事する花子を襲いてぇとか思ってた時期もあったけど
うん、今はもうぶっちゃけルキと幸せにならねぇと許さねぇって、思ってる。





「あず、アズサさ…アズサさん…ぅえ…っ」



「平気だ花子、アズサはお前を悲しませるような事はしないさ。花子の事が大好きな末っ子だからな。」



アズサが1人残って足止めをする事になっちまって花子の足は悲しみで止まっちまったから
そのまま俺達も立ち止まる訳にもいかず、彼女は今俺の片腕の中だ。
ひっきりなしに嗚咽を漏らして涙を零す花子の表情は俺の胸に酷く突き刺さってイテェ。



ルキが出来る限り穏やかな声で花子を宥めてやってっけどその表情は辛そうだ。
まぁそうだな…アズサが無事って絶対的な保証はどこにもねぇ。



でもアズサの気持ちも分かんだよ俺。
なんでか知んねぇけどルキと花子の為なら余裕で体張れんだわ。




先程よりかは幾分少ないがそれでも多くの足音が後ろから聞こえる。
嗚呼、アズサが逃がしちまった奴がやって来た。
小さく舌打ちをして未だに腕の中で泣いてる花子をぽーいっと勢いよく放り投げてやる。
向かう先は俺のもう1人の兄貴、コウの腕の中だ。




「や、やだ…っ!ユーマさん!!やだっ!!!」



「ちょっとぉ!!お、俺のお姫様抱っこが不満って言いたいの花子ちゃん!!……ユーマ君ごめんね。」



アズサの事があるから俺が今から何すっか察した花子がコウの腕の中で大暴れしちまって苦笑。
チクショウ、可愛い事してんじゃねぇよ。
そしてコウはコウであえておどけて花子を咎めるけどその後ちっと申し訳なさそうに俺の事を見やった。



別に、こんなのどうって事ねぇよ。




変わんねぇ笑顔で笑ってやっても花子の涙は止まる事はない。
でもわりぃな。俺は俺のやりたいことをやりてぇんだよ。




「っし!アズサを突破したザコは全部俺が此処でぶっ潰してやんよ!!」



「ユーマ…っ」




ルキも立ち止まった俺を見てツラそうに顔を歪めちまう。
ああ、ちげぇよルキ。俺達はそんな辛い顔をさせてぇわけじゃねぇんだ。




「笑ってろ、ばーか」



俺達はルキと花子の笑顔が見たい。
毎日馬鹿やって穏やかで幸せで…そんな中で笑うお前らが見れんならなんだってする。



わらわらと大勢のウゼェ奴らが詰め寄ってくる。
ったく、数多すぎ。アズサのヤツ、さぼったんじゃねぇだろうな。
ゴキゴキと肩を鳴らして準備運動。
俺の…俺達のお気に入りをぶっ壊そうってぇなら容赦しねぇ全部ぶっ潰す。




例え胴体と首が千切れたとしたって逃がさねぇ。
首だけでも這いまわってお前らを噛み殺してやる。




海で作った大砲は実は俺。
ルキと花子が一生懸命作った城を壊すような波は全部俺が返り討ちにしてやんよ。




俺はコウみたいに気利くわけじゃねぇし
アズサみたいに優しく触れてやれるわけじゃねぇ。
ガサツで乱暴な大馬鹿野郎だ。




そんな俺がルキと花子に出来る事っつったらこれくらいしかねぇ。




「可愛いお城にはちーっと不釣り合いってかぁ?」



小さく自嘲して相手を睨みつけて戦争開始の合図。
ルキと花子を傷付ける奴からはまとめて砂の兵器みてぇな俺が守ってやりたい。




それ位しか不器用な俺はアイツ等に愛情表現が出来ねぇんだよ。





べしゃり




砂の兵器が潰れて消える音が、した。




またな、
俺の愛しの姉ちゃん。



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