68:無神コウの独白


ごめんなさいごめんなさい
私なんかが私なんかが




そんな花子ちゃんの心が初めて
いやだ、みんなと一緒にいたいって…叫んだんだ。





「や、や…っ!コウさん…っもうやだ…やです…っ!」



「だーいじょうぶ!これくらい全然平気だって!!んもう花子ちゃんは過保護だなぁルキ君に似ちゃったかな?」




俺の腕の中でひたすら叫んじゃう花子ちゃんに苦笑。
まぁ仕方ないって言えば仕方ない。
さっきから花子ちゃんを庇い続けて走ってるからダイレクトに連中の攻撃を受け続けてる俺の体は全部傷だらけ。



でもさ、これくらいしてもいいって位、俺は今の花子ちゃんをキッチリ守ってカールハインツ様の所へ連れていってあげたい。
出会った時は私なんていらない、死ねばいい、消えればいいのにってずっと心の中で叫んでた花子ちゃんが
泣きながらルキ君や俺達と一緒に居たいって心で叫んだんだ。
叶えてあげたい…何を犠牲にしたって。




それは勿論俺自身だとしても、だ。




「ヘイ、ルキ君!!本命パースっ!!」



「っ、コウ!!お前もか…っ」



ぽーいっとさっきユーマ君がしたように花子ちゃんを今度は彼女が一番大好きなルキ君の腕の中へと放り投げる。
ふわりと浮いた体と一緒にこぼれた涙は俺の傷なんかよりもよっぽど痛いなぁ。
花子ちゃんにはいつだって笑顔でいて欲しいのに。



「ホラホラ花子ちゃん、スマイル、スマイル。えーがおっ!」



「コウさ…う、うぇ…」




両手の人差し指を頬にあてて血塗れだけどアイドルスマイルをしてあげれば余計に歪んじゃう彼女の顔。
ううん、困った。
俺はいつだって花子ちゃんが笑顔になれるキラキラのお星さまでいたいのに。



花子ちゃんの最愛はルキ君で、ルキ君の最愛も花子ちゃんだけど…
彼女の一番の理解者はこの目を持った俺であってほしいと願ってる。




いつだって見守って来た彼女の心境の変化。
時には酷く歪んだり悲しいものになったけれど今はこうして自分のしたい事をまだ声に上げることは滅多に出来ないけれどそれでも心で叫ぶことが出来るようになった。
だからそんな彼女のお願いは俺が出来る事であれば全部叶えてあげたいんだ。




「ホラホラ、花子ちゃん!花子ちゃんのお星様のお願いだよー!!わらってよぉぉぉ!!!」



わざとらしく喚いても彼女の表情も心も涙で濡れたまま。
全く…察しがいいのは時に罪だね。
困ったように笑って両手をひらひらと振ってお別れの挨拶。
でも大丈夫。俺はそんなにヤワじゃないから絶対後で会えると思う。



「バイバーイ花子ちゃん!!だいすきっ!!」



立ち止まる俺とは対照的に花子ちゃんを抱えたルキ君の走るスピードはどんどん加速する。
うん、そうだね。此処に長くいれば花子ちゃんの悲しみはますます大きくなるばかりだ。



「ああ〜…いったいなぁ。」



どくどくと流れ溢れる自身の血を見つめて目を細める。
全く、アイドルにこんな大けがさせるとか何事だよもう…コレ、致命傷じゃん。




「お前らさぁ…調子乗り過ぎ。何俺の大事な子泣かしちゃってる訳?アズサ君とユーマ君はどうしたの?言えよ。」



ギロリと睨みつければたじろぐ奴等に小さく溜息。
こんな奴等に花子ちゃんとルキ君は殺させない。



「俺はね…ずーっとあの子のお星さまでいたいんだよ。」




いつの日か「コウさんはお星さまみたいですね」と微笑んでくれた花子ちゃん。
心を読んでもその言葉に偽りはなくて…本当に心底憧れて尊敬してるって言うキミに俺はもっともっと頑張ろうって思えたんだ。
誰かにそう思われるのは酷く心地よくてしあわせだ。




キラキラと歪なお城を飾る輝く砂になりたい。
花子ちゃんとルキ君が歩むこれからの道を俺って言う存在で沢山彩りたい。
そしていつだって彼女の心を見守ってあげてたいんだ。
それこそ彼女の言うお星さまみたいに。




「ルキ君と花子ちゃんの幸せ、邪魔しないで。」




彼女が心で願った。
そのお願いをかなえてあげるのもお星さまの役目だって思ってる。
それこそこの身体をボロボロに傷付けられても、この手が肉塊で真っ赤に染まったとしても、だ。




花子ちゃん、キミのお星さまは最後までキラキラ輝けるかなぁ…




ポロリ




城に装飾された白い砂が
音も立てずにはがれる気が、した。





いつだってずーっと笑っててね?
未来のおねえちゃん。



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