11:永遠に甘やかす
「そんな訳で。」
「どんな訳で?」
今この状況に普通の女子なら怖くて叫び散らしてる所だろうけれど
もうなんか今まで散々ベタベタあまあまなスキンシップを取られてる私としてはまぁそんなに驚きもしなくなってしまった。
…また一段と女子力というモノから遠ざかった気しかしない。
現在私はシュウ君に真顔で覆いかぶさられています。
「なんだよ察しろよ。大人のクセに。」
「ええ?察しろって…シュウ君もお年頃だからそういうアレ?いやいやいやまだシュウ君には早い!!」
「俺はいつだって花子には発情してるしもう実年齢とか言いだしたらじじいなんだから早くない。」
押し倒されているにもかかわらず乙女チックな反応をしない私にご不満だったのか
そのままぎゅうぎゅうと抱き付いてきちゃうのでゆっくり背中撫でながら彼の不満を聞けば爆弾発言。
ていうかこういう時だけ年上アピールしないでよね。
前年下扱いのままがいいって言ったばっかじゃんホントもう可愛いなぁ。
「で?何がそんな訳で?」
「…………花子のばーか。」
ぐりぐりと顔を擦りつけてきちゃう彼に苦笑しながらも
言葉の真意を問えばぶすっと、とんでもなく不機嫌な顔のまま私から離れてぐいっと強引に腕を引っ張られた。
その反動で体は起き上がり、今度はすっぽり私がシュウ君の腕の中だ。
「シュウ君?」
「もう一通り挨拶済ませただろ?だから…な?」
「…っ!」
もぞもぞと腕の中で動いて彼を見上げると、どこまでも穏やかな口調でそんな台詞。
「だから…な?」って、それはつまりそろそろ本格的に私とシュウ君が一緒に…結婚、するって事で。
「う、う、う…」
「ふは…っ、何急に赤くなってんだよ。さっきまで余裕だったくせに。」
明確になったその二文字を自覚して急に顔が熱くなる。
そんな私を見たシュウ君がおかしそうに笑うけれどそれはいつもの甘えたのシュウ君の笑顔じゃなくて
なんだか…どう言えばいいのかわからないけれど“男の人”そのものだ。
「シュウ、く…あの、」
「ん?なぁに?花子…」
「う、あ、の…あ、」
バクバクバクバク。
心臓が煩すぎる。止まったら困るけど止まってくれって言いたい位に煩くて苦しい。
さっきまで私が優位だって思ってたのにパクパクと唇を開閉するだけで何も言葉が出てこない。
シュウ君は只々優しく微笑んで私を見つめるばかりだ。
なんでこんな時に意地悪するの…はやくシュウ君の口からハッキリ言ってよ、馬鹿。
彼はどうしても私の口から「結婚」の二文字を言わせたいらしく、只々嬉しそうにじっとこちらを見つめて何も言ってくれない。
どうしよう…こんな言葉口に出してしまったらもうこれから彼と顔を合わせる度に意識して心臓持ちそうにない。
「け、」
「け?」
「け、こ…っ」
「けこー?…ふふっ」
私の言葉ひとつひとつを繰り返しちゃうシュウ君は可愛いはずなのに格好いい。
なんだろう…本当に今、彼氏に待ってもらってる彼女の気分。
いや、元々恋人同士ではあるのだけれど、いつもは私がシュウ君を甘やかしているからこういうのはホント慣れない。
ブルブルと体が震えてもう限界だって首を何度か横に振るとぎゅっと体を抱き締めている腕に力が籠められた。
そしてクスクスと耳元でひとしきり笑われてしまって恥ずかしさや悔しさで胸が一杯になってしまって思わず涙が零れてしまう。
するとそれはやっぱりシュウ君の唇でちゅっとすくわれてベッドのシーツに落ちてしまう前に彼の中へと吸い込まれてしまい
そのままじっと青色の瞳に逃がさないと言わんばかりに射抜かれてしまう。
「ごめん、泣かせるつもりはなかった。…意地悪だったな。」
「しゅ、」
「花子、ケッコン…しよっか。」
その言葉と同時に今度は私の腕はぎゅっと彼の体をめいいっぱい強く強く抱き締めた。
シュウ君はそんな私の行動にクスクスとまた笑って私に負けない位ぎゅうぎゅうと私を抱き締める。
「ねぇ花子、へーんーじ」
「そ、そんなの言わなくても分かるじゃない。」
「やーだ、花子の口からちゃんと言葉貰わないと不安。」
あ、相変わらず彼女か!!
ぷくーっと頬を膨らませてこっちを睨んじゃう彼にもはや反論しても無駄だって長い時間過ごしてきててもう学んでる。
もう観念してゴホンと大きく咳払いをして今度は私がシュウ君を射抜く番。
「よ、宜しくっ!お願い!しますっ!!」
「ん。で…?俺とケッコンしたら花子は俺に何してくれるの?」
意気込んで答えるとまた意地悪な事を言っちゃうシュウ君にビキリと青筋を浮かべる。
今度は赤面しない!泣かない!!ていうかこの質問の答えはもう分かってる!!
全体重を彼に預けてそのまま全力で覆いかぶさって押し倒す。
すると何処かそわそわしたその瞳に単純な私は浮かべていた青筋をひゅんっとひっこめて笑ってしまう。
ううん、もしかして甘えん坊のシュウ君も悪いんだろうけど
そんな彼を存分にデロデロに甘やかしてしまってる私も悪いのかも。
今更な結論に辿り着いてしまってもう笑いが止まらない。
へらへら笑いながらも未だに私の言葉を期待しちゃってる可愛いけどたまにびっくりする位格好いい彼氏…もうすぐ旦那様にちゅっと唇を落とした。
「そうだね、シュウ君がしんじゃったとしてもずっと、ずーっと甘やかしてあげる。」
「その答え、正解だ。」
私の答えはやっぱり彼のご希望と合致していたようで、
シュウ君はニッコリ笑って私の頭を強引に引き寄せた。
ううん、こんなんじゃ私が本格的に彼に頂かれちゃうのも時間の問題かもしれない。
…別に嫌じゃないというか寧ろ嬉しいけど。
なんて、本人に言ったら絶対に調子乗っちゃうので言ってあげない。
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