11:異変


ピピピピピピピ



いつも通りけたたましく目覚ましが鳴る。
けれど俺は起きない…っつーか起きれない。



どどどどどどうすんだよ昨日の今日で花子の顔とかみれねょ…!!!



後悔している…盛大に後悔している!!
これ、あれだ別れるって言われてもガチでおかしくねぇし!!
つか俺結局あの変態と同じ事しちまった気がするー!!!


気まずすぎて本当に隣で眠っているであろう花子を起こしてやることが出来ない。
…だが時間っつーのは残酷なもんで一刻一刻と彼女の出社時間が迫る。
一つ小さな息をついて覚悟決めれば勢いよく振り返る。



「お、おい花子…そろそろ起きねぇとかい、…しゃ?」



振り返ればそこには誰もいなくて、代わりにひょっこり脱衣所から現れたのは昨日酷い言葉を浴びせて酷い抱き方をしてしまった俺の最愛。



「花子…、…っ!」



名前を呼んでみたけど、彼女の姿を見たらすげぇ痛々しくて思わず目を逸らしちまった。
…酷い。俺、サイテーだ。



花子の手首は俺が加減なしに掴んだ痕、
体のいたるところには遠慮なしに付けてしまった嫉妬心の現れ。
更にはいたるところに吸血痕…



んだよコレ…
ホントに俺がやったのかよ。



けれど当の本人は全く気にしてないと言った感じで
ゆるゆるとその痕を素早くコンシーラーや服などで隠して
髪も下ろして万全にして普段の会社スタイルの花子の完成だ。
なんら違和感はない。…只、コイツが自分で準備してるって事以外は。



「花子、あの…」



「ゆーまくん、いってきまーす」



「お、おお!気ぃつけろよ!!」



何とか会話を探そうとしたけれど
ガチで普段と全く変わらねぇテンションでそう言われれば慌てて花子を送り出すことしかできなかった。
…あれ?アイツ気にしてねぇの?



…いやいやいやいや!そんな訳あるか!!
絶対気にしてる!!つか絶対ガチギレしてるに違いない!!!



取りあえず花子が帰ってきたらすっげぇ謝ろうって心に決めて
俺もちっとは気持ちを切り替えていつも以上に丁寧に家事をこなしていった。





「………帰って来ねぇ。」



すっかり綺麗すぎる空間になっちまった彼女の部屋でぽつりとつぶやいても誰も返事はない。
只々虚しくこだまするだけだ。
んだよ…もしかして行き倒れたりとかしてねぇだろうな。



…や、ありうる。



何かこう…俺に酷い事されてやけになって
そのままふらふらさまよってどっかで野垂れ死にとか…
ど、どうする!!むか、迎えに…!!
ええと確か花子の会社は…!



一回考えだしたらもう止まらなくて
大慌てで会社へと迎えに行こうとした時に鳴り響くメール着信の音。



「…………あ?」




取りだして本文を覗き込めば盛大に顔が歪んでしまう。
そして瞬時に目的地を変えて猛ダッシュだ。



何やってんだ…
何やってんだよ花子は!!



そこ、アイツもいるだろ!?
なんでそんなとこにいるんだよお前。



握り締めた携帯のディスプレイに写るのは
全く持って愛想もクソもない一通のメール




件名:無題
本文:花子、俺の家にいるから。  逆巻シュウ



何で自分から自分を穢した男のいる家にいるんだ!!
訳分かんねぇけど、取りあえず一刻も早く花子を連れ戻したくて
もっともっと、と走り抜ける速度をあげていく。



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